2020 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢を制御した新規iPS細胞由来樹状細胞ワクチン療法の開発
Project/Area Number |
20K08965
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中村 公紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80364090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
北谷 純也 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (30596979)
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60448785)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / 腸内細菌叢 / 癌免疫ワクチン療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌叢は、癌免疫療法に対する奏効と耐性のメカニズムの調節において重要な役割を果たしており、腸内細菌叢に起因する免疫系の変化を活用し、癌に対する免疫応答を増強させる可能性がある。また、腸内細菌叢による免疫チェックポイント阻害による抗腫瘍効果が高まることが報告されている。我々は,以前より癌に対する免疫ワクチン療法として、樹状細胞(DC)から誘導した細胞傷害性T 細胞による抗腫瘍効果の有用性を報告し、さらにiPS細胞から大量の樹状細胞を誘導することにも成功した。そこで、本研究は、腸内細菌叢を調整し抗腫瘍免疫能を増強し、一方、免疫逃避に重要な役割を担う免疫チェックポイント分子CTLA-4を阻害させるために樹状細胞にCTLA-4 のリガンド であるCD80/86のsiRNAを導入することにより、さらに効率的で強力なiPS細胞由来樹状細胞を用いた癌免疫療法を構築し、究極の癌免疫ワクチン療法を確立することを目的にしている。 本年度は、まず、消化器癌において発現頻度の高いヒト腫瘍抗原CEAの遺伝子を導入したiPS細胞由来DC (CEA-iPSDC)をマウス皮下腫瘍モデルに投与し抗腫瘍効果を解析し、さらに腸内細菌カクテルを経口投与し、抗腫瘍効果の増強効果を検討することを開始した。研究初期段階でとして、CEA発現iPS細胞由来DC(CEA-iPSDC)の作製を行い、それを用いたCEA特異的細胞傷害活性を解析し、CEA特異的抗腫瘍効果を明らかにした。現在、抗腫瘍免疫反応を増強する腸内細菌株(バクテロイダーレス目の細菌株(バクテロイデス属、パラバクテロイ デス属、 アリスタイペス属およびパラプレボテラ属)と非バクテロイダーレス目の細菌株 (フソバクテリウム属、 ユーバクテリウム属、ルミノコッカシアエ科、ファスコラクトバクテリウム属))の調整を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗腫瘍免疫反応を高め、CD8陽性T細胞を活性化させる腸内細菌叢(バクテロイダーレス目の細菌株(バ クテロイデス属、パラバクテロイ デス属、 アリスタイペス属およびパラプレボテラ属)と非バクテロイダーレス目の細菌株 (フソバクテリウム属、ユーバクテリウム属、ルミノコッカシアエ科、ファスコラクトバクテリウム属))の作製、調整に難渋し、その有効濃度の調整、投与量が定まっていないため、現在、その作製方法を見直して検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、消化器癌において発現頻度の高いヒト腫瘍抗原CEAの遺伝子を導入したiPS細胞由来DC (CEA-iPSDC)をマウス皮下腫瘍モデルに投与し、抗腫瘍効果を解析した。次年度は、抗腫瘍効果をきたす腸内細菌株を調整し、至適投与量を速やかに決定し、腸内細菌カクテルをマウス皮下腫瘍モデルに経口投与し、抗腫瘍効果の増強効果を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、実験試薬、遺伝子操作用試薬・酵素および抗体の一部が当教室の在庫で代用でき、また、国内外の学会出張を抑えたため、次年度使用額が発生した。次年度は多数のマウスを使用する動物実験、樹状細胞および細胞傷害性T細胞解析を含む免疫実験、マウスCD80/86-siRNAの合成、siRNAを導入したアデノウイルスベクターの作製等を行うため、実験動物やラジオアイソトープ、遺伝子操作用試薬等に多額の費用がかかると考える。また、研究結果発表のための学会出張費が大きく必要になると考える。
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