2020 Fiscal Year Research-status Report
人工知能による乳房超音波診断支援システムの精度向上と実用化の検討
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20K08993
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林田 哲 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80327543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永山 愛子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00573396)
高橋 麻衣子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50348661)
関 朋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70528900)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超音波 / 乳房 / 人工知能 / 乳がん検診 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の乳癌患者の増加に伴って乳房超音波検査の重要性が増しており、その精度管理は急務であると考えられる。これまでに我々とIT企業の共同研究により、人工知能(AI)による画像解析で実績のあるConvolutional Neural Network技術を用いて、AIによる乳房超音波画像診断システムを開発し、すでに特許出願を提出した。(特願2019-034978)このアルゴリズムを使用した最新の診断システムは判定時間0.04秒で、感度91.8%・特異度91.4%の精度で腫瘤性病変の判定を行い、リアルタイム診断にも対応可能である。また、国際的な診断基準であるBI-RADS判定にも対応している。本研究では、システム精度向上を目的として、症例画像提供に協力する共同研究施設によるコンソーシアムを設立し、教師データとなる乳房超音波画像の蓄積10000症例を目指す。さらに、対策型検診における乳房超音波検査の二次読影によるダブルチェックをAIが施行することを目的とし、前向きの臨床試験を遂行することにより、PMDA審査承認による実用化を図る。本研究の進捗により、国立がんセンター中央病院、国立がんセンター東病院、帝京大学、杏林大学、国立病院機構東京医療センター、埼玉医科大学とのコンソーシアムが立ち上がり、すでに3500枚を超える教師データの蓄積が行われた。今後は対策型検診において行われた乳房超音波検査の画像に対してAI診断を適用し、人間による診断との対比・検証を行うとともに、ユーザーインターフェースの改善も同時に行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に我々ははアノテーション作業を終えた約1500症例の教師データを保有していたが、2020年度の進捗として、①国立がんセンター中央病院、国立がんセンター東病院、帝京大学、杏林大学、国立病院機構東京医療センター、埼玉医科大学における倫理申請の通過および慶應義塾大学との研究契約を施行、② 上記施設より教師データとなる乳房超音波の回答つき(針生検による良悪性の判定つき)画像データを約3500枚取得し、そのうちの約1500枚においてアノテーション作業を終了、③ AIの診断アルゴリズムについて出願中であった特許の権利化を施行、④ 検診施設との共同研究を立ち上げ、乳がん検診におけるAI診断の有用性についての臨床試験について、倫理申請の手続きを開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では学習による精度向上はプラトーに達していないと判断され、症例数の増加とアルゴリズムの改善により、熟練した検査技師・医師を超える精度を目指す。現在構築済みの診断アルゴリズムには、1)BI-RADS判定を行うアルゴリズム、2)腫瘤の有無と良悪性の判定を行うアルゴリズム、の2種類が開発され、それぞれ独立した診断が可能である。これを組み合わせ、例えば1段階目でBI-RADS判定を行い、乳癌の可能性が10%以上あるとされるBI-RADS判定4以上の画像に対してのみ2段階目の良悪性を判定するアルゴリズムに診断をさせるなど、診断精度に応じて最適化を行う。さらに、教師データとアルゴリズムを固定化し、対策型検診において行われた乳房超音波検査の画像に対してAI診断を適用し、人間による診断との対比・検証を行う。またこれを組み込むためのユーザーインターフェースも開発していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19蔓延に伴い、会議費として考えていた費用がウェブ会議となったことで減じた。そのため、研究費を必要に応じて適正に使用した結果次年度使用額が生じた。 次年度使用額については、物品費および人件費として適正に使用していく予定である。
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Research Products
(3 results)