2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism elucidation of immunostimulatory action by interleukin-15 in the elderly with cancer-bearing condition
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20K09008
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 知志 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (30457080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛地 吉弘 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80284488)
山下 公大 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (80535427)
井上 茂亮 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (30582209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者 / インターロイキン15 / 免疫賦活 / 抗腫瘍免疫応答 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌を始めととした消化器癌は、周術期及び術後補助療法は標準的となり、また、再発した際には、多様な治療選択がなされる。担癌患者の高齢化に伴い、その生理的特徴を捉えた上での適切な癌治療が求められている。一方、免疫チェックポイント阻害剤の癌治療への導入は、消化器癌領域では必須の治療となっており、高齢者の免疫機能への深い理解が求められている。加齢に伴う免疫機能の変化(免疫老化)は免疫細胞(特にTリンパ球)全般の機能劣化によるものと考えられているが、その病態は必ずしも明らかではない。腫瘍内や慢性感染の際に生じる免疫の疲弊とはまた異なる概念とされ、未だ理解が不十分である。Interleukin-15(IL-15)T細胞、NK細胞などの免疫細胞に必須かつ共通の分化・増殖因子であり、感染や腫瘍に対する免疫応答に重要な機能を果している。我々の研究グループは、すでに敗血症モデルでの高齢マウスは、若年マウスと比較してT細胞の減少による予後不良と、IL-15による治療効果を捉えている。本研究は、1)加齢に伴う免疫応答の低下に対するIL-15による腫瘍関連Tリンパ球賦活作用の機序の解明、2)高齢癌患者におけるIL-15による免疫能の賦活化・再活性化の解析と機序の解明、3)免疫細胞を賦活化した状態での免疫チェックポイント阻害剤の効果を検討し、免疫チェックポイント阻害の機序との比較により、IL-15の作用点と老化の改善と腫瘍による疲弊との関連を明らかにすることを目的とし、高齢者癌治療の免疫賦活化、最適化を目指した臨床的なエンドポイントを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-15の高齢者の免疫細胞への活性効果の確認と担癌状態での免疫賦活作用の検証として、ヒト末梢血由来の免疫細胞のIL-15による活性化の検証を行なっている。培養系が確立されているため、現在は健常人末梢血よりT細胞を抽出し、抗CD3抗体+抗CD28抗体刺激後の変化を確認を行い、増殖能をはじめとした機能解析を進めている。末梢血でのPD-1及びTim-3の発現と多機能性の評価を行っている。NK細胞は採取できる量が少量であり、まだ十分な解析には至っていない。また、高齢マウスにおけるIL-15の免疫応答への効果判定として、IL-15添加によるサイトカイン産生能の解析を行っている。老齢マウスと若年マウスの脾臓リンパ球と大腸癌腫瘍細胞を培養し、MTTassayにて増殖能を確認している。また、老齢マウスにおける骨髄由来抑制性細胞の検討及びT細胞の共刺激分子の発現と機能に関して、検討を開始した。これらの培養系はほぼ確立しているが、培養試薬や抗体に関して納入時期が軒並み遅れている。また、一時的に培養制限される時期があった点が遅延の原因と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス納入の時期が改善され、老齢マウス自体が手にはりいやすい状況となったために、マウスの実験自体は、迅速化されることが予測される。また、培養系での成果を確認するために、胃癌患者の年齢と腫瘍内T細胞の関連性を切除標本を用いて行うことで、より迅速化かつ簡便にサンプル数を減らした評価が可能であるため、切除標本の免疫染色を開始した。年齢と腫瘍内T細胞浸潤については、定量化が可能であり、AIを用いたイメージサイトメトリーを用いて解析を行い、より迅速で客観性の高いデータ集積を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染の蔓延に伴う制限で、当院研究施設でのヒト検体での解析が一時期、禁止となり、進捗状況が遅れた。健常者も含め、培養も禁止となり、研究再開が遅延したため、計画通りの使用とならなかった。また、試薬を注文した際にも、海外からの取り寄せに制限がかかり、かなりの時間を要するために、実験が遅延する結果となった。このため、昨年度分の計画を遂行するうえに、データ蓄積と解析における工夫をつかすることにより、迅速性を持った解析を行い、成果につなげたい。
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Research Products
(5 results)