2022 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of new selection system for adjuvant chemotherapy of colorectal cancer
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20K09011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
沖 英次 九州大学, 医学研究院, 准教授 (70380392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尾 洋之 九州大学, 薬学研究院, 教授 (30368617)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | cDNAマクロアレイ / ctDNA / 術後補助療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの最終目的は、有効なゲノム診断法で画期的な術後化学療法プログラムを開発することにあった。その目的の一つ目として、シスメックス社と共同で開発したcDNAマイクロアレイを利用するサブタイプアッセイで、大腸癌術後の予後予測をする試みを行った。このアッセイでは、大腸癌をMSI-like, CIN, Stromal subtypeの3つのサブタイプに分類することが可能であった。Stromal subtypeは他の群より予後不良で、MSI-like サブタイプでは術後補助療法にオキサリプラチンの上乗せが重要であることが確認された。しかしながら本アッセイ結果は予後因子とはなるものの、術後補助化学療法の選択に必ずしも役立つことが証明されなかった。そこで私たちは、ctDNA(circulating tumor DNA)を使った解析法にアッセイを変更した。使用した方法はNatera社が開発した手法で、whole exome sequenceで患者ごとに16遺伝子を決定し、その決められた遺伝子を標的にctDNAをフォローしていく方法である。この手法を用いて、全国で前向きの観察研究を行っている(GALAXY study)。この結果、術後4週時点でctDNA陽性は、陰性と比較して、再発リスクが著しく高く、さらに、Stage II/IIIの症例において、術後4週時点でctDNA陽性の場合、術後補助化学療法を受けなかった症例では18ヶ月時点での無病生存割合が22.0%であったのに対し、術後補助化学療法を受けると61.6%まで再発リスクが低下することが明らかとなった。一方、術後4週時点でctDNA陰性例では、術後補助化学療法を受けなかった症例は18ヶ月時点での無病生存割合が91.5%、術後補助化学療法を受けた症例は94.9%と統計学的な有意差は認められなかった。この結果から、術後にctDNAを測定することで、大腸がん患者の再発リスクに応じた術後補助化学療法の選択ができることが明らかとなった。
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