2020 Fiscal Year Research-status Report
Fabrication of bioengineered sphincter construct with myoblast sheet
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20K09012
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金高 賢悟 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (10549570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 晋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80404218)
丸屋 安広 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (20817085)
堺 裕輔 九州大学, 工学研究院, 助教 (10608904)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 再生医療 / 筋芽細胞 / 括約筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞シートのさらなる進化として生体材料である利点を生かした生理学的な機能の付加が期待される。加齢や疾病に伴う括約筋機能の低下は消化管においては逆流性食道炎、便失禁など、尿路においては排尿障害など種々の病態を引き起こし生命危機に直結しないものの生活の質QOLの著しい低下をきたす。これらの改善のため、括約筋の再生医療を目的として、薬剤に反応し収縮能を持つ細胞シートContractile cell sheetを作製し、次に細胞シートを輪状に立体配置して管状構造にすることで収縮能を持つ管状収縮帯neo-sphincterの作製を行う。 具体的には1)収縮能を有する筋芽細胞シートの作製。筋芽細胞シートが筋組織由来であるとの利点を生かして、生体内で収縮機能を持つ細胞シートを作製する。 2)薬剤でのコントロールシステムの付加。 細胞シートに収縮能を付加させ、さらに収縮、弛緩状態を薬剤でコントロール可能とするシステムの構築を目指す。の2点に沿って進める予定であった。 今年度はコロナ禍の影響にて出張による情報収集、他施設による実験内容の相談などが行えておらず、具体的な実験を行うことが困難であった。そのため関わる文献の検索などを中心に行うこととなった。文献上は東京女子医科大学などをはじめとするラボにて筋組織の再生に関する報告がなされているため当該研究所に遠隔によって相談するなどして、次年度は具体的な研究を開始出来るように準備を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度としては、以下を行う計画であった。 1.収縮能を有する筋芽細胞シート”Contractile cell sheet”の作製 ラットの大腿筋より筋芽細胞を分離調整し、筋細胞への分化を誘導するためストレス誘導剤(ツニカマイシン、タプシガルジンなど)にて短時間処理した後、増殖因子の少ない貧栄養培地にて培養する。Total RNAを抽出した後に逆転写酵素を用いてcDNAに逆転写し、それを鋳型にMyoD,Myogeninのprimerを用いてqRT-PCRで増幅、定量し、筋芽細胞、筋細胞への分化を確認する。 2.収縮能獲得に重要な筋線維の走行をそろえるため、コラーゲン膜コーティング培地にてconfluentになった状態で培養細胞伸展装置を用いて伸展刺激を与える。経時的に顕微鏡下にて細胞の形質変化を観察するとともに、RT-PCR法にて筋芽細胞→筋管細胞→筋線維のマーカーであるMyoD, Myogenin遺伝子などの発現を再度確認する。 3.収縮能を有する筋細胞の培養が確立された後に同様な培養系を温度応答性培養皿上に再現することによって、収縮能を有する筋細胞シートの作製を試みる。基盤技術を確立するために適宜マウス骨格筋芽細胞株C2C12細胞を用いて、迅速に実験を推進する。 しかし、現時点においてコロナ禍の影響にて出張による情報収集、他施設による実験内容の相談などが行えておらず、現在のところ進捗が認められない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もコロナ禍の影響が継続すると考えられるため、引き続き出張や他施設訪問による情報収集、技術指導は困難と考えられる。今後、筋組織再生にて先進的施設である東京女子医科大学のラボにウェブなどを用いて遠隔相談を行うことでまずは初年度予定していた課題「収縮能を有する筋芽細胞シート”Contractile cell sheet”の作製」を進めていきたい。 その後、当初の計画通り「筋芽細胞シートによる管状収縮帯”Neo-sphincter”作製」を下記のごとく進めていく予定である。 全身麻酔下にラット小腸を採取する。摘出した小腸血管内にPBSを注入洗浄し、血液を除去した後、0.01% SDSにて24時間、0.1%SDSにてさらに24時間、1%SDSにて48時間処理を行い脱細胞化骨格を作製する。脱細胞化骨格の一部に対し10%ホルマリン固定を行い、HE染色およびAZAN染色にて評価し、細胞断片が十分に除去されていること、線維性蛋白質やグリコサミノグリカンなどの細胞外器質が保存されていることを確認する。作製された消化管脱細胞化骨格にラット筋組織より作製した“収縮する”筋芽細胞シートを輪状に貼付する。血流を確保するために、大網によって被覆し、腹腔内へと移植を行う。作製された筋芽細胞シート-脱細胞化骨格-大網すなわち管状収縮帯neo-sphincterは大網より血流を供給されているためラットに種々の筋弛緩剤(pancuronium,suzamethoniumなど)を投与することでneo-sphincterの収縮弛緩を確認する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響にて出張による情報収集、他施設による実験内容の相談などが行えておらず、次年度使用額が生じている。次年度はウェブなどを用いて遠隔相談を行うことでまずは本年度の課題「収縮能を有する筋芽細胞シート”Contractile cell sheet”の作製」を進めると同時に、当初の計画通り次年度の課題「筋芽細胞シートによる管状収縮帯”Neo-sphincter”作製」を行っていく予定であり、そのために必要な試薬や手術器具などの購入に充てる。
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