2020 Fiscal Year Research-status Report
人工知能とテキストマイニングを用いた肥満手術の新しい適応基準の確立に向けた研究
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20K09015
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 達也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (20529169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧口 修司 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00301268)
小川 了 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70423853)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カルテ記載 / テキストマイニングスタジオ / MatLab / 臨床心理士 |
Outline of Annual Research Achievements |
当科では高度肥満症に対するスリープ状胃切除術を2021年3月までに26例行った。1年以上経過した症例は15例あり、術後の減量効果は良好の群と不良の群の二峰性となることが分かった。術前の一般血液検査の結果から術後の肥満治療の良悪を予測できる項目は見られなかった。研究的項目として血中アミノ酸を測定しているが、これに関しては分枝鎖アミノ酸の濃度が術後の減量効果に関連する傾向が見られた。これに関してはまだ症例が少なく、検討段階にある。 手術前のカルテ記載について、人工知能を用いた検討を行った。症例は術後半年の段階でフォローアップならびにカルテ記載の検討が可能な18症例を行った。カルテの記載をMatLabテキストマイニングにて検討を行った。減量効果不良例のカルテでは名詞として「食事」「量」「減量」「入院」のワードが多くみられた。また、形容詞としては「甘い」「良い」「多い」「いい」「少ない」が多くみられた。減量効果良好例のカルテでは名詞として「量」「食事」「減量」「入院」「食」が多くみられ、形容詞としては「多い」「良い」「甘い」「遅い」「少ない」が多くみられた。 これらの記載の違いは減量効果良好群と不良群との差が少なかった。MatLabでの検討ではトピックの検討なども行ったが、カルテの記載形式とコンピューターの解析フォームの違いもあり、これ以上の有効な検討は困難であった。 現在のMatLabによる検討ではコンピューターの解析形式の違いで有効な検討結果が出なかったが、臨床の現場では減量良好例と不良例の印象の違いを実感している。昨年から臨床心理士の介入が増加し、従来より患者背景の記載が増加してきている。また、手術症例数も増加してきているため新しい解析プログラムであるテキストマイニングスタジオを用いてさらなる検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当科では高度肥満症に対するスリープ状胃切除術を2021年3月までに26例行った。1年以上経過した症例は15例あり、術後の減量効果は良好の群と不良の群の二峰性となることが分かった。術前のALT, HbA1c,コレステロールなどの一般血液検査の結果と術後の超過体重減少を検討したが、肥満治療の良悪を予測できる項目は見られなかった。研究的項目として血中アミノ酸分画を測定しているが、これに関しては分枝鎖アミノ酸の濃度が術後の減量効果に関連する傾向が見られた。この結果は2020年(開催は2021年3月)に行われた日本肥満症治療学会において結果を発表した。この問題点としてはまだ症例が少なく、すぐに臨床応用できるところまで至っていない点がある。 手術前のカルテ記載について、人工知能を用いた検討を行った。症例は術後半年の段階でフォローアップならびにカルテ記載の検討が可能な18症例を行った。カルテの記載をMatLabテキストマイニングにて検討を行った。減量効果不良例のカルテでは名詞として「食事」「量」「減量」「入院」のワードが多くみられた。また、形容詞としては「甘い」「良い」「多い」「いい」「少ない」が多くみられた。減量効果良好例のカルテでは名詞として「量」「食事」「減量」「入院」「食」が多くみられ、形容詞としては「多い」「良い」「甘い」「遅い」「少ない」が多くみられた。 カルテ記載の単語出現頻度分析では減量効果良好群と不良群との差が少なかった。MatLabでの検討ではトピックの検討なども行ったが、カルテの記載形式とコンピューターの解析フォームの違いもあり、これ以上の有効な検討は困難であった。 現在、テキスト解析専用のプログラムであるテキストマイニングスタジオを導入し、解析方法を検討し始めており、研究の進捗は順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年から新型コロナウイルスの影響で肥満手術の施行が困難になり、手術件数の伸びは鈍っている。しかし、外出がしにくくなることで在宅時間が増加し、いわゆる”コロナ太り”が社会問題化している。このため肥満症治療に対する社会的期待が大きく、コロナが落ち着いた際には手術症例数の増加が見込まれる。また、昨年から臨床心理士の介入が増加し、以前より患者背景の記載が増加してきている。テキスト解析に関しては本年度から新しい解析プログラムであるテキストマイニングスタジオを用いてさらなる検討を行っていく。このプログラムはテキスト解析に特化したプログラムであるため、頻度やトピック分析だけでなく、文章全体としての解析が可能になる。これにより汎用プログラムでできなかった詳細の検討が可能になると考える。血液検査での検討ではアミノ酸分析での結果が出つつあり、症例数の増加を待って追加解析を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
解析用コンピューターならびにソフトウエアは予備解析として現有のものを使用しており、新しいものは次年度で購入、使用予定としています。
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Research Products
(1 results)