2021 Fiscal Year Research-status Report
人工知能とテキストマイニングを用いた肥満手術の新しい適応基準の確立に向けた研究
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20K09015
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 達也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (20529169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧口 修司 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00301268)
小川 了 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70423853)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テキストマイニング / 減量・代謝改善手術 / 効果予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本検討は減量・代謝改善手術を行った患者の中で減量効果が高かった患者と低かった患者の違いについて電子カルテの文章記載を検討することで患者の生活面・心理面での差異について検討を行った。検討症例は25例、1年後の%EWLの中央値(52%)で減量良好群・不良群の2群に分けた。検討にはテキストマイニングスタジオを用いた。検討した文章は生活面での特徴をとらえているため、術前から術後1年までの精神科医・心理士・管理栄養士のカルテとした。文章は15104行、延べ単語数は3256語であった。係り受け頻度解析で減量良好群は管理栄養士の“食事療法―継続“”減量―いただく“の組み合わせが多く、良好に経過している栄養管理を継続して行っていると考えられた。一方、減量効果不良群で多かったのが”継続―いただく“”体調―合わせる“の組み合わせで、食事療法が継続できていないので管理栄養士が繰り返して食事指導を行っていると考えられる。好評語ランキングでは減量良好群では不良群に比べて”減量―出来ている“,”摂取―すると良い“と組み合わせが目立った。不評語ランキングでは減量良好群で”食事―大丈夫“”脂の多い食事―注意“”気持ち―悪い“といった組み合わせが見られた。減量良好群では食事・減量に対して支持的に評価する評価語が多かったが、”気持ち―悪い“に関しては手術直後の実際の吐き気を表す場合が多かった。テキストマイニングによる25例・1万5千行のカルテ記載の検討は従来の採血などの検討に比べれば格段に検討項目は多いが、特定の単語の組み合わせを検討するためには症例数がまだ少ないことが分かった。今後は症例の積み重ねと解析方法の調整をする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テキストマイニングによるカルテ記載の検討を行った。係り受け頻度解析で減量良好群は管理栄養士の“食事療法―継続“”減量―いただく“の組み合わせが多く、良好に経過している栄養管理を継続して行っていると考えられた。一方、減量効果不良群で多かったのが”継続―いただく“”体調―合わせる“の組み合わせで、食事療法が継続できていないので管理栄養士が繰り返して食事指導を行っていると考えられる。好評語ランキングでは減量良好群では不良群に比べて”減量―出来ている“,”摂取―すると良い“と組み合わせが目立った。不評語ランキングでは減量良好群で”食事―大丈夫“”脂の多い食事―注意“”気持ち―悪い“といった組み合わせが見られた。減量良好群では食事・減量に対して支持的に評価する評価語が多かったが、”気持ち―悪い“に関しては手術直後の実際の吐き気を表す場合が多かった。 一方、減量・代謝改善手術の手術前に行った血液検査の結果を1年後の減量効果と比較した検討を行っており、一般採血だけでなく血中アミノ酸も含めて検討している。術前血中アミノ酸濃度は一般採血検査より術後減量と関連が強い項目があった。人工知能の解析を行うと最適化可能な判別モデルでは76.2%の精度で減量効果の良悪を判断することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
減量代謝改善手術を行うにあたって、手術の効果が十分得られるかどうかは手術を受ける患者にとって大きな問題であり、この予測ができることは病的肥満の患者にとっては治療を受けるにあたって大変励みになる情報となる。今回のテキストマイニングから行う予想方法と血液検査から行う方法の両方を行い、それぞれ良好な効果が得られた。今年は最終年度にあたるが、年度の後半までデータ集積を重ね、テキストと血液検査の両方を組み合わせたより良い予測方法を開発する。 また、全国学会での発表を予定しており、論文作成も準備している。今回の研究結果が早く臨床の現場で役に立つよう情報発信に努める。
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Causes of Carryover |
現在研究は順調に進んでいますが、今年一年の症例についてもデータを集積して最終的な結果として報告するため、データ集積のための機材などを予定しています。また、中間発表の段階での学会発表は行いましたが、最終的な報告についての学会発表や論文作成を行う予定です。
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