2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the genome wide epigenetic aberration in the esophagogastric junction cancer carcinogenesis
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20K09018
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
斉藤 正昭 自治医科大学, 医学部, 講師 (00382911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 浩一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70332369)
力山 敏樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (80343060)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食道胃接合部癌 / エピジェネティック異常 / H. Pylori陰性胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヘリコバクター・ピロリ(HP)非感染胃癌の発癌メカニズムとして、胃酸や胆汁酸曝露に起因する炎症によって誘導される脱メチル化異常に注目しました。メチル化異常によりセントロメア領域のnon-cording RNAが担うsiRNA機構が破綻し、ゲノム不安定性が引き起こされる一連のプロセスを検証します。DNA脱メチル化異常はゲノムの不安定性を介した発癌経路における初期段階に関与していると考えられますが、そのメカニズムは不明です。本研究は、以前我々が報告した胃癌の発癌メカニズムとしてヘリコバクター・ピロリ感染が誘導する脱メチル化異常と同様に、胃噴門部および食道胃接合部において胃酸、胆汁酸逆流による炎症を起点として、その現象がセントロメア領域のnon-cording RNAが担うsiRNA機構とキネトコア形成に与える影響を検証する独創的な試みです。この経路にはp53蛋白の変異の関与が少ない事が明らかになっており、古典的な分化型胃癌の発癌過程とは異なるSatelliteαの脱メチル化を介する新たな発癌経路の発見の糸口となる事が期待されます。HP陰性胃癌、食道胃接合部癌の発癌メカニズムとして、脱メチル化異常を介する染色体不安定性の関与が明白になると期待されます。 まず、in vitroでの胆汁酸、胃酸曝露モデルを作成すべく、条件検討を行いました。細胞の生存率に影響を与えない、胆汁酸、胃酸曝露プロトコルを作成しました。 次に、正常食道胃接合部細胞株を用いて、同様に胆汁酸、胃酸曝露を行いました。数継代行うことで、エピゲネティック異常も継代することがわかりました。 現在は、同細胞株を用いて実際に胆汁酸、胃酸による炎症を介したエピゲノム異常が生じているかを検討中です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃酸、胆汁酸による炎症が誘導する染色体不安定性の評価においては、ヒトの正常胃細胞培養し、特定の低酸、胆汁酸曝露下において誘導される脱メチル化異常を介した染色体不安定性の誘導を検証することが順調に進捗しております。 炎症が誘導する脱メチル化異常の標的領域を特定、網羅的検索においては、セントロメア領域の脱メチル化レベルSatelliteα配列の脱メチル化レベルでの評価は終了し、現在non-coding RNAやセントロメア関連蛋白の発現がどのように変化するかを検討しています。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株の3D培養およびオルガノイドを用いた同様の検討を行う予定です。 また、染色体不安定性の標的染色体と責任遺伝子の同定について、Satelliteαtranscriptを介する染色体不安定性に関わる標的染色体の同定を行宇予定です。 その上で、染色体の詳細を検討し、責任遺伝子を特定し、細胞株への遺伝子導入によりその関与を検証します。
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Causes of Carryover |
当初、本年度計画では、食道胃接合部癌発癌におけるエピゲノムの関連性の解明を行うにあたり、ゲノム全体のメチル化レベルの解析、オルガノイドにおける実験をおこなう予定であった。しかし、研究過程で、食道胃接合部癌発癌には細胞周期とチェックポイント経路が関与することがCGH等の解析より強く示唆された。このため、本研究目的を遂行するにあたり、本研究分担者と協議した結果、当初計画に加え、細胞周期とチェックポイント経路の関与を詳細に検討するため、フローサイトメトリーを加える必要があると判断した。なお、再現性の確認実験や研究分担者との協議が終了したのが、令和3年2月中旬であり、繰越申請に間に合わなかったため、今回申請を行う。
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