2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the genome wide epigenetic aberration in the esophagogastric junction cancer carcinogenesis
Project/Area Number |
20K09018
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
斉藤 正昭 自治医科大学, 医学部, 講師 (00382911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 浩一 自治医科大学, 医学部, 教授 (70332369)
力山 敏樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (80343060)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食道胃接合部癌 / エピジェネティック異常 / H. Pylori陰性胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、食道胃接合部癌、特にBarrett食道腺癌の発癌過程で、胃酸・胆汁酸の曝露による慢性炎症がエピゲノム異常の一つである脱メチル化異常を引き起こし、染色体不安定性を誘導するという仮説を設定した。 初めにBarrett食道癌患者の手術検体を用い、Barrett食道の背景となる食道扁平上皮部とBarrett食道腺癌部におけるSatellite αの脱メチル化レベルを比較検討した。その結果、Barrett食道癌の患者では腺癌部が食道扁平上皮部よりも有意にSatellite αの脱メチル化レベルが上昇していることが明らかとなった。脱メチル化の機序を解明するため、食道胃接合部癌に関連する細胞株において、酸および胆汁酸の曝露前後のLINE-1およびSatellite αの脱メチル化レベルおよびSATの発現を評価した。その結果、Barrett食道細胞株において、酸および胆汁酸の曝露がSatellite αの脱メチル化を誘導し、SATの発現が亢進していた。酸および胆汁酸曝露による染色体不安定性の誘導について検討したところ、SATの発現亢進を認めたBarrett食道細胞株において、数的、形態学的な染色体不安定性が認められた。以上から、酸および胆汁酸の曝露はBarrett食道に由来する食道胃接合部癌の発癌過程に関与する可能性があることを明らかにした。アレイCGHにおける、コピー数の変化の有無の確認したところ、酸およびDCAを曝露させたCP-A細胞では、コントロール群と比較して、特定の染色体でコピー数変化が生じることが明らかになった。 我々は、胃酸および胆汁酸への曝露が、Barrett上皮細胞株においてセントロメア領域での DNA脱メチル化を促進し、CINを引き起こすことを初めて報告した。本研究は、BEに由来するEGJ癌の発生メカニズムに解明するうえで重要と考えられる。
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