2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09019
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
阪本 良弘 杏林大学, 医学部, 教授 (70343746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小暮 正晴 杏林大学, 医学部, 助教 (20549224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肝再生 / 肝切除 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓は強い再生能を有する臓器で、動物モデルやヒトの肝切除後には肝再生が促される。ヒトの肝の切除限界は75-80%程度であると考えられ、予定残肝容積が小さいことが予測される場合、術後肝不全を防止する目的で、切除予定肝の門脈を塞栓することがある。本研究では大量肝切除時の残肝容量増大のために行う門脈塞栓術(PVE: (Portal vein embolization, PVE)とALPPS(Associating Liver Partition and Portal vein ligation for Staged hepatectomy)と呼ばれる二期的肝切除における門脈圧の変化に着目し、門脈圧と肝再生の関係を明確にした上で、再生肝細胞の形態の組織学的評価、また、再生能を定量的に測定、ALPPSにおける機能的再生を検証する。その上で、形態的再生と機能的再生の一致率をPVEとALPPSにおいて比較検討する。従来のALPPS原法(1期目手術での肝完全離断、門脈結、中肝静脈切離)では高い合併症率と致死率が問題となっていた。当施設では侵襲を少なくするために門脈結紮は行わず経回腸静脈的にInterventional Radiology(IVR)の技法を用いて門脈を塞栓し、肝離断を完全に行ず部分的にのみ行い、中肝静脈を温存しているPartial TIPE(Trans Ileoceacal vein Portal vein Embolization) ALPPSを行っている。 臨床研究のために杏林大学研究倫理委員会への倫理審査を申請した。現在、倫理審査(再審査)中である。審査を通過次第、対象症例に対し研究参加の同意を得て研究を開始する。実臨床上での研究になる為、安全に行うことを最も重視している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理研究審査のための研究計画書、倫理審査申請書の作成及び倫理審査申請後には審査のために時間を要していることが理由として挙げられる。倫理審査通過次第、実際の研究を開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の計画を推進していく。1.PVEとPartial TIPE ALPSSにおける形態的再生と機能的再生の追跡1)全肝機能はインドシアニングリーン(Indocyanine green: ICG)試験や血液生化学検査)2)残肝容量増大率 CT volumetryで定量3)残肝容量と塞栓肝の分肝的な機能はGd-EOB-DTPA造影MRIで定量的に予測 4)手術中のリアルタイムな分肝的機能をICG蛍光度を測定する近赤外線イメージングで測定、定量化する.2.門脈圧の測定とサンプル(肝組織)の採取A)門脈圧の測定PVE施行時には、PVE施行前後のPV本幹、および非塞栓門脈枝(通常は左枝)におけるPV圧を測定する。Partial TIPE ALPPS1期目の際にもPV本幹、および非塞栓門脈枝(通常は左枝)におけるPV圧を測定する。B)肝組織の採取 組織学検査、免疫組織染色のためにホルマリン固定標本として保存する。肝切除の際に塞栓肝、非塞栓肝の正常組織を採取する。Partial TIPE ALPPSの二期目手術時に塞栓肝、非塞栓肝から正常肝組織(非腫瘍部)を採取し保存する。塞栓肝、非塞栓肝はすべて本来切除すべき肝切除標本から採取する。実臨床では行なっておらず本研究での検討項目となる。3.肝組織の組織学的、免疫組織学的検討検討 4. PVE, partial TIPE ALPPS 手術中の肝血流動態、肝酸素化のモニタリング 最終的に画像所見による形態的再生変化と組織学的所見、肝機能検査による機能的変化の一致率を評価する。
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Causes of Carryover |
実際の研究は開始しておらず、研究開始のための予備調査及び準備のための費用がかかっている状態であるため次年度使用額が生じた。
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