2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K09025
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
今井 浩二 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10516420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 裕輔 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30400089)
唐崎 秀則 医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院医学研究所, 外科的消化器病疾患研究部, 客員研究員 (50374806)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵管内乳頭粘液性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下、IPMN)の外科切除材料を用い、詳細な病理学的なマッピングと多領域シーケンシングによる膵癌関連遺伝子変異の分布解析を行い、浸潤癌を発生しやすいIPMNの特徴を明らかにすることを目的とした。 2022年度は、8例のIPMN切除症例(微小浸潤癌を含む)を対象に、外科切除材料の全割標本を用い、組織学的異型度や上皮サブタイプ(粘液形質)の異なるコンポーネントに分け、さらに肉眼的正常膵に分布する微小病変、膵管内播種が想定される病変(非連続に進展したと考えられる病変)をマッピングした。症例あたり5~20カ所の関心領域と設定し、ターゲットシーケンスに必要な10ng以上のゲノムDNAの確保が困難な領域について変異解析を行った。解析の対象とした遺伝子はKRAS及びGNASに加え、high-grade dysplasia及び浸潤癌の形成に必要とされるTP53, SMAD4, CDKN2A等、合計8遺伝子とした(Ion AmpliSeq パネル)。なお検出された変異アレル頻度(Variant Allele Frequency;VAF)が3%以下の領域については結果の精度検証のため、デジタルPCR法によるKRAS及びGNASのhot spot変異検出と定量を行った。 これらの解析結果、少数のゲノムマーカーによっても各領域におけるクローン類縁性と、これらの空間的な分布の推定が可能であった。癌抑制遺伝子の変異分布が、必ずしも「結節性病変」が局在しないことを確認した。ただし、KRAS及びGNAS変異はhot spotが特定のコドンに集中するため、クローン類縁性の評価において偶然の一致の可能性を排除できない点が問題であった。今後、腫瘍性病変の組織学的異型度が増す過程で、少数のドライバー変異では説明のつかない遺伝子発現が悪性化のトリガーとなっている可能性を念頭に空間発現解析による検証を進めたい。
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