2021 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌における血球細胞を介した癌進展機序の解明と新たな治療法開発
Project/Area Number |
20K09031
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
市川 大輔 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20347446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河口 賀彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (80402048)
赤池 英憲 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00402032)
古屋 信二 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80622381)
庄田 勝俊 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70783421)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵臓癌 / 血小板 / 膵液漏 |
Outline of Annual Research Achievements |
●膵臓癌細胞株Panc-1を用いて、前年度同様に膵臓癌患者由来血小板を培養液中に添加した後、膵臓癌細胞株の機能解析を行い、血小板非添加群との比威嚇検討を行った。細胞増殖能の解析では、膵臓癌細胞株培養液中への血小板の添加によって、経時的な増殖能の有意な上昇を認めた。Boyden chamber assayを用いた遊走能解析でも、培養液中への血小板の添加によって遊走能の亢進を認め、Matrigelを用いた浸潤能解析でも、血小板の添加によって浸潤能の有意な亢進を認めた。また、中皮細胞を予め接着させたプレートを用いた接着能解析も行ったが、血小板の添加によって癌細胞の中皮細胞への接着の亢進を認めた。癌細胞の悪性度の増強について、血小板から分泌される様々な液性分子による間接的な影響と、血小板の接着による直接的な影響が考えられるため、血小板不透過膜を介した条件下に前述の機能解析を行ったところ、癌細胞への血小板の接着による直接作用によって各悪性度の増強が顕著に亢進されることが確認された。 ●また、これら中皮細胞への膵臓癌細胞の接着作用は、炎症存在下で有意に亢進することも確認された。 ●臨床上の意義を検討するため、当科で手術を施行した107名の膵臓癌患者の術後の予後解析で、手術中の出血量が多い群の予後が有意に不良であった。また、再発形式の中で、特に局所再発が出血多量群で有意に多い結果であった。更に出血多量群の解析では、臨床的に顕著な膵液漏を来たすことが、全生存率の予後不良因子であり、局所再発とも有意な相関を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に解析手技自体は確立していたため、同様の解析を膵臓癌細胞株を用いて行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、癌細胞と血小板の接着によって引き起こされる癌細胞の悪性度増強のメカニズムを分子レベルで解析し、その阻害実験から、新たな治療標的についても検討する。
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Causes of Carryover |
少額の残余であり、次年度の交付金額と併せて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] 胃癌進展における血小板の役割2021
Author(s)
齊藤 亮, 庄田 勝俊, 丸山 傑, 赤池 英憲, 河口 賀彦, 山本 淳史, 滝口 光一, 古屋 信二, 細村 直弘, 雨宮 秀武, 川井田 博充, 須藤 誠, 井上 慎吾, 河野 寛, 市川 大輔
Organizer
日本外科学会定期学術集会