2021 Fiscal Year Research-status Report
MUC1-Cを標的とした転移性大腸癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の適応拡大
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20K09032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平木 将之 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (80621036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩文 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30322184)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MUC1 / PD-L1 / 大腸癌 / 乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤は臨床応用が進み、大腸癌を含めた多数の悪性腫瘍の治療ラインで成果を挙げている。一方で、抗PD-1抗体薬が適応となる転移性大腸癌は全体の約4%であるMSI-Highのサブタイプに限られるなど、未だ抗PD-1抗体による治療効果は広くは期待できないのが現状である。そのため、適応拡大に向けた研究が必要である。我々はこれまでに乳癌や肺癌で高発現するMUC1を標的とすることにより、腫瘍内のPD-L1発現を抑制し、マウスの皮下腫瘍に細胞死を誘導することを報告した。そこで本研究は大腸癌においても過剰発現するMUC1を標的として、抗PD-L1抗体による治療効果を改善させることを目的とした。昨年度の研究においてMUC1に対するsiRNAを2種類設計し、乳癌細胞株と大腸癌細胞株に作用させ、MUC1をノックダウンさせた時のPD-L1の発現レべルを検討した。その結果、大腸癌細胞株においても乳癌細胞株同様にMUC1ノックダウンによってPD-L1発現が低下することを見出した。さらにデータベース分析と確認実験によって転写因子XがMUC1と共にPD-L1遺伝子の発現調整に関わっている可能性が示唆された。本年度は転写因子Xのノックダウン実験と阻害剤投与実験を行い、PD-L1発現に与える影響について検討を行った。その結果、siRNA、阻害剤の投与によって乳癌細胞株MCF7、大腸癌細胞株SK-CO-1においてPD-L1の発現低下が認められ、転写因子XがPD-L1の発現に関わっていることを明らかにすることができた。更にこれとは別経路でMUC1がPD-L1の活性化に関わっている可能性が想定され現在検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、転写因子Xの抑制がPD-L1発現に与える影響について検討を行った。乳癌細胞株MCF7に対し、転写因子Xに対するsiRNA 2種類を投与し、48時間後に回収したサンプルをウェスタンブロットにて検討を行うと、転写因子Xの発現が低下していた。また、大腸癌細胞株SK-CO-1に対し、転写因子Xの阻害剤を濃度をふって投与し、48時間後に回収したサンプルをウェスタンブロットにて検討を行うと、濃度依存的に転写因子Xの発現が低下していた。更に別の経路からのアプローチも成功する見込みがあることから研究は順調に進捗しており、次年度へ向けた準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
私たちはこれまでMUC1と共にPD-L1の発現制御に関わる分子としてMYCやNFkBを発見してきたが、その他にも重要な分子が存在する可能性がある。そこで、今後はMUC1に対するsiRNAを投与したサンプルをRNA-sequenceに提出し、in silico解析を行うことによって、MUC1の下流分子を網羅的に探索する。これにより、MUC1によるPD-L1発現制御の分子メカニズムをより詳細に明らかにしていく。また最新文献の知見から別ルートでのPD-L1誘導の可能性が考えられたので検証を進めてゆく。
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