2021 Fiscal Year Research-status Report
癌微小環境内のエクソソーム情報の変化に基づいた薬剤耐性機序の解明と耐性解除の探索
Project/Area Number |
20K09043
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
上野 昌樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90405465)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
速水 晋也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00468290)
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
川井 学 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40398459)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 肝細胞癌 / 免疫チェックポイント阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、腫瘍微小環境で発現されるPD-L1の多寡と肝細胞癌の腫瘍悪性度の間での弱い関連性、および、腫瘍周辺に存在するCD8陽性T細胞の集積程度と予後との強い関連性を観察した。in vitroでの振る舞いを観察すべく、肝細胞癌における患者由来癌スフェロイドの樹立を試みているが、現在の所、樹立できていない。一方、肝内胆管癌においては、患者由来癌スフェロイドの構築に成功した。現在、臨床データを用いて、更に、末梢血パラメータで予後との相関を確認した所、アルブミン・リンパ球・CRP値が予後と相関することが分かり、更に、免疫チェックポイント阻害剤の治療を実施された症例を対象に、治療効果との相関を解析した所、宿主因子からは、好中球リンパ球比・CRP、腫瘍因子からはAFP値が効果を予測しうる独立した因子として抽出され、いずれの因子も高値となると免疫チェックポイント阻害剤の治療効果が減弱すると判定された。各々のodds比(95%信頼区間)は、-0.36 (-0.69 ~ -0.05)、-0.47 (-1.05 ~ -0.01)、-0.38 (-0.79 ~ -0.02)であった。好中球リンパ球比高値、CRP高値は、CD8陽性T細胞のfunction statusと免疫チェックポイント阻害剤の反応性との関連性を示唆していた。腫瘍微小環境でのPD-L1発現の多寡・CD8陽性T細胞の集積程度と、末梢血パラメータとの間で介在する因子の同定が必要と考えられた。また、これまでに肝細胞癌を4つの表現型(腫瘍関連マクロファージ浸潤型・CTNNB1変異型・ cytolytic activity型・regulatory T cell浸潤型)に分類した経緯があるので、免疫チェックポイント阻害剤治療歴があり、かつ切除標本のある症例を対象として、腫瘍微小における肝細胞癌の表現型と免疫チェックポイント阻害剤治療効果との関連性も探索する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染のパンデミックのため、研究作業に対するエフォートが十分に得ることが出来ない状態であり、計画全体が滞っている。また、肝内胆管癌においては、患者由来癌スフェロイドの構築に成功した一方で、肝細胞癌における患者由来癌スフェロイドの樹立を試みているが、現在の所、樹立できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
肝細胞癌においては、臨床サンプルを用いた解析を主軸にしていく予定である。現時点において、可能性を示唆するデータは得られつつあるが、未だ確立には至っておらず、データを発表できる状態ではない。臨床サンプルの収集は継続的に行い、データの確立に努めていく。肝内胆管癌においては、患者由来癌スフェロイドの構築に成功できたので、計画どおり進めて行く予定である。
|
Causes of Carryover |
2021年度は、コロナ感染症のパンデミックのため、研究業務のエフォートを減らさずおえず、当初の計画通りに研究遂行ができなかった。解析に回せなかったサンプルはストックしてあるので、2022年度は後れを取り戻すべく解析量を増やし、次年度繰り越し金を充当させる。
|
Research Products
(1 results)