2022 Fiscal Year Annual Research Report
肝胆膵領域癌におけるLGR5を標的としたSTAT3活性抑制による新規治療の開発
Project/Area Number |
20K09049
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
久保木 知 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (50571410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高屋敷 吏 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (30456024)
酒井 望 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70436385)
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
鈴木 大亮 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (90422229)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LGR5 / 肝胆膵領域癌 / STAT3 / β-catenin / OLFM4 / GRIM19 / Wntシグナル / Pin1 |
Outline of Annual Research Achievements |
LGR5はWnt-β-cateninシグナルを亢進させることでいくつかの癌種で腫瘍進展を促進することが示唆されているが、肝胆膵領域癌におけるLGR5発現およびその意義に関する報告はない。今回、当院にてR0/1切除を施行した肝細胞癌、肝内胆管癌、胆嚢癌におけるLGR5発現を評価し、臨床病理学的因子や予後との関連を評価するとともに、細胞実験にてLGR5-β-cateninシグナルによる肝胆膵領域癌の腫瘍進展機序を検討した。肝内胆管癌において、LGR5発現はβ-catenin活性・OLFM4発現・STAT3活性と正の相関、GRIM19発現と負の相関を示した。LGR5高発現例ではEMTやcancer stem cell (CSC)-like propertyが増強しており、LGR5高発現は独立した予後不良因子であった。細胞実験では、IWP-2によるWntシグナル抑制によりβ-catenin活性が低下し、OLFM4発現低下およびGRIM19発現増強を介してSTAT3活性が亢進した。その結果、vimentin、MMP-2、EpCAM、CD133の発現低下を認め、浸潤能、stemnessの低下を認めた。また、Pin1がβ-cateninの安定化に寄与するため、同シグナル亢進に必須であった。同様の結果が肝細胞癌でも得られ、また、胆嚢癌において転写因子活性亢進はPD-L1発現を誘導することが示された。以上より、肝胆膵領域癌において、LGR5を介したWnt-β-cateninシグナルがOLFM4-GRIM19カスケードを介してSTAT3活性を亢進し、EMTやCSC-like propertyを促進する結果、腫瘍悪性度を高めることが示され、LGR5は肝胆膵領域癌において有用な予後予測因子および治療標的因子となりうる。また、Pin1を抑制することで間接的にLGR5-STAT3シグナルを制御できる。
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Research Products
(3 results)