2021 Fiscal Year Research-status Report
直腸癌に対するTAS-102を用いた化学放射線療法の開発
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20K09051
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
西川 武司 地方独立行政法人埼玉県立病院機構埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 病院 消化器外科, 医長 (00749799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80529173)
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80571942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TAS-102 / Trifluridine / 大腸癌 / HIF-1α |
Outline of Annual Research Achievements |
直腸癌に対して術前化学放射線療法が広く行われ、欧米では標準治療とされている。我々は放射線照射により大腸癌細胞にhypoxia - inducible factor (HIF)-1αの活性化が誘導され、これが放射線耐性の機序となっていること、CPT-11がこの活性化したHIF-1αを抑制し放射線感受性を増強することを解明してきた。一方TAS-102は近年開発された大腸癌に対する新しい抗癌剤であり、最近の我々の研究でその有効成分であるTrifluridineがCPT-11同様放射線感受性を増強する効果を有することが明かとなりつつある。そこで本研究では特にHIF-1αに着目しそのメカニズムを明かとすること、動物実験により実際の治療効果を確認することを目的とする。 本年度は主に大腸癌細胞株HT-29を用いて4Gyの放射線照射を行い、Trifluridineが放射線照射後の大腸癌細胞において細胞増殖を抑制することを示した。 また、Trifluridineによりアポトーシスは増加しないが、細胞周期がG2/Mで停止し、細胞増殖を抑制することを示した。 さらに、Western blottingを用いて放射線照射によりHIF-1αの発現を定量化し放射線照射によりHIF-1αの発現が亢進することを確認した。またこの系に、Trifluridinを加え、放射線により誘導されたHIF-1αが抑制されることを確認した。このことからTrifluridineがHIF-1αを抑制することで細胞周期停止を起こし、細胞増殖を抑制していると予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ対策のため研究施設への立ち入りが制限されたため、研究に遅れがある。 また、Western blottingを用いたHIF-1αの発現の定量化において、安定した結果を得るのに検討を繰り返したため、時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸癌細胞株において放射線照射により発現したHIF-1αがTrifluridineにより濃度依存性に抑制されるメカニズムにつき、mRNAの発現を検討する予定である。 具体的にはreal time PCR で、HT29における、放射線照射やTrifluridine投与によるHIF1α mRNAと、anti-sense HIF1α RNAの発現の変化を確認する予定である。
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Research Products
(3 results)