2021 Fiscal Year Research-status Report
新奇糖鎖を欠損した胃癌自然発症マウスにおける胃癌発生機構
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20K09053
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
春宮 覚 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (50301792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 淳 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10221459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃癌 / 糖鎖 / 遺伝子改変マウス / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はα1,4結合型N-アセチルグルコサミン(αGlcNAc)を欠損したA4gntノックアウト(KO)マウスの胃癌発症機構を明らかにすることである。IL11発癌シグナルをαGlcNAcが抑制しているという観点からαGlcNAc認識レクチンであるTFF2の局在を明らかにすること及びその結合蛋白質の同定は、活性化抑制機構を解明するうえで必須である。TFF2結合蛋白質を同定するために、以下の2つの方法を試みた。 1) α/βGlcNAc認識レクチンであるGSA-IIレクチン結合蛋白質の解析 我々は以前、野生型マウス胃粘膜溶解液のGSA-IIレクチンビーズ結合画分から質量分析法によりTFF2、MUC6、MUC5AC、gastrokine-2、galectin-2を同定した(挑戦的萌芽研究 (16K15255) 研究成果報告書)。令和3年度、野生型及びA4gnt KOマウス胃粘膜溶解液のGSA-IIレクチンビーズ結合画分を対象として抗TFF2抗体を用いたイムノブロット分析からTFF2はMUC6のαGlcNAcを介してGSA-IIと結合していることが示唆された。野生型マウス胃粘液のTFF2はMUC6等のムチンをαGlcNAcを介して架橋し、粘液バリアを構築しているが、A4gnt KOマウスでは架橋が形成されないため、バリアが脆弱化すると考えられた。 2) 抗TFF2抗体を用いた免疫沈降画分の蛋白質の解析 野生型及びA4gnt KOマウス胃粘膜溶解液を対象として、抗TFF2抗体を用いた免疫沈降画分を調製した。IL11シグナル経路に関連し、TFF2が認識するαGlcNAc修飾糖蛋白質を対象としてイムノブロット分析を行った。野生型マウス由来の画分で検出される糖蛋白質について検討し、候補分子を見い出した。今後、IL11発癌シグナルに関与するTFF2結合分子を解析し、抑制機構の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度はGSA-IIレクチンビーズ結合画分を対象としたイムノブロット分析から野生型マウス胃粘液におけるTFF2の機能の一部が明らかになった。またTFF2結合分子の同定に関する実験で候補分子を見い出したことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
GSA-IIレクチンビーズ結合画分の蛋白質に関して、引き続き解析を進める。また抗TFF2抗体を用いて免疫沈降画分を調製し、含まれる蛋白質の同定をさらに進める。同定蛋白質の免疫沈降を行い、αGlcNAcの結合を確認する。これらの蛋白質に結合しているαGlcNAc修飾糖鎖がO-グリカンかN-グリカンかを確認し、αGlcNAcの結合について確定する。 ヒトの早期分化型胃癌の組織切片を対象に、αGlcNAcに対する免疫染色を行い、αGlcNAc陽性群とαGlcNAc陰性群に大別する。続いてTFF2に対する免疫染色を行い、αGlcNAcの発現と比較検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和4年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)