2022 Fiscal Year Research-status Report
新奇糖鎖を欠損した胃癌自然発症マウスにおける胃癌発生機構
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20K09053
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
春宮 覚 信州大学, 医学部, 特任准教授 (50301792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 淳 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10221459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胃癌 / 糖鎖 / 遺伝子改変マウス / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はα1,4結合型N-アセチルグルコサミン(αGlcNAc)を欠損したA4gntノックアウト(KO)マウスの胃癌発症機構を明らかにすることである。 IL-11発癌シグナルのαGlcNAcによる抑制という観点から、そのメカニズムを明らかにするため研究を進めた。令和4年度はこれまでに同定されたαGlcNAc結合蛋白質と発癌シグナル、とくにSTAT3の活性化との関連を調べた。 以前、我々はGSA-IIレクチンビーズ結合画分の質量分析によりTFF2、MUC6、MUC5AC、gastrokine-2、galectin-2、MUC1を同定した(16K15255 科研費 研究成果報告書、Cancer Science,113:3852-3863, 2022)。GSA-IIレクチンビーズ結合画分にはその他にIL-11シグナル伝達に関係する蛋白質としてgp130が同定された。gp130は野生型マウス胃粘膜溶解液のGSA-IIレクチンビーズ結合画分に存在し、A4gnt KOマウス胃粘膜溶解液からの結合画分には検出されなかった。このことからgp130へのαGlcNAcの結合が示唆された。gp130の胃粘膜における発現の経時的変化は10週齢のA4gnt KOマウスで野生型マウスと比較してとくに亢進していた。これはSTAT3活性化の経時的変化と一致していた。現在、gp130糖鎖へのαGlcNAcの結合に関して解析を進めている。Cos7細胞を用いたgp130とα1,4-N-アセチルグルコサミン転移酵素(α4GnT)の共発現系ではgp130へのαGlcNAcの結合が確認されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IL-11~STAT3経路に関連する糖タンパク質の内、gp130へのαGlcNAcの結合が示唆された。gp130の胃粘膜における発現の経時的変化は10週齢のA4gnt KOマウスで最も亢進しており、これはSTAT3活性化の経時的変化と一致していた。αGlcNAc認識レクチンであるTFF2に関してIL-11~STAT3活性化経路への関与についても研究を進めた。TFF2とIL-11受容体、TFF2とgp130の相互作用実験における免疫沈降-イムノブロット分析、Blue Native PAGEの実験系の確立に時間を要し、進展が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト胃癌細胞株AGS細胞を使用したTet-onシステムでα4GnTを発現させた細胞と発現していない細胞に対してIL-11刺激後、それらのSTAT3活性を比較する。α4GnTを発現した場合にはSTAT3の活性は減弱すると考えられる。 マウス胃粘膜で同定されたαGlcNAc結合タンパク質に関して細胞においても同様にαGlcNAcが結合しているかを確認する。 IL-11シグナル抑制におけるTFF2の関与について明らかにするために、IL-11~STAT3経路におけるαGlcNAc結合タンパク質とTFF2との相互作用について検討する。
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Research Products
(2 results)