2020 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic Imaging of LDH Inhibition in Tumors by 13C-MRI to Treat Colon Cancer
Project/Area Number |
20K09054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶋 野歩 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70571454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 文紀 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (10380693)
久森 重夫 京都大学, 医学研究科, 助教 (50534351)
板谷 喜朗 京都大学, 医学研究科, 助教 (80814029)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん代謝 / 乳酸脱水素酵素 / ワールバーグ効果 / 大腸癌 / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌・胃癌に対する、低分子化合物を用いた代謝阻害治療法の確立を目指して、今年度は以下の研究内容を実施した。細胞外フラックスアナライザーを用いて、大腸がん細胞株6種類、胃がん細胞株6種類についてそれぞれがもつsteady stateでの細胞内代謝の特徴を調べた。具体的には解糖系とミトコンドリア呼吸に分けてそれぞれの代謝状態を調べ、各細胞株の代謝プロフィリングを行なった。これらの結果、各癌細胞株ごとに解糖系代謝・ミトコンドリア呼吸に相違があり、代謝の状態(依存度)は大きく3つのパターンに分類できることを明らかにした。さらに、解糖系を選択的に阻害する低分子化合物(LDH阻害剤)をこれらの細胞に投与して癌細胞に解糖系代謝阻害ストレスを与えたのち、これらの細胞株の代謝変容と細胞増殖抑制について調べた。その結果、低分子化合物による大腸癌・胃癌細胞内の解糖系代謝の阻害・抑制が可能であること、そしてそのon-target効果はいくつかの細胞株に対して細胞増殖抑制効果をもたらした。さらに、解糖系代謝が亢進している細胞株であるにもかかわらず解糖系阻害で細胞増殖抑制効果が得られない細胞株が存在することを明らかにした。これらの細胞株においては代償性にミトコンドリア呼吸が増大していることを見出した。LDH阻害剤による解糖系代謝の強制的かつ急速な阻害により癌細胞内で乳酸産生が抑制されてエネルギー産生低下が引き起こされることを回避するために、これらの癌細胞において酸素状態に関わらず”metabolic switch”が惹起されている可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、COVID-19による研究活動制限と移動制限があったため、研究の遂行に遅延が生じた。本研究が他大学との共同実験を含む性質上、上記制限によって特にin vivo実験に遅れた生じた。その一方で、胃癌細胞株を用いた実験を追加したことで、胃癌に対する代謝阻害治療の開発研究の可能性を新たに見出すことができた。また、細胞内エネルギー産生の急速な低下を回避する、癌細胞内での”酸素状態によらないエネルギー代謝の可塑性”という新たな知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
低分子化合物による、大腸癌・胃癌に対する代謝阻害治療法の臨床応用を目指して、来年度は以下の研究を予定している。当院において樹立されたヒト検体由来の大腸癌・胃癌細胞株を用いて個々の検体の代謝プロファイリングを行い、LDH阻害剤による代謝変容と細胞増殖抑制効果について検討する。同時に、癌細胞が持つ”酸素状態によらないエネルギー代謝の可塑性”について調べる目的としてもう一つの低分子化合物であるミトコンドリア呼吸阻害剤の投与を追加することで、薬剤による細胞内エネルギー産生の強制かつ急速な低下を回避する細胞内代謝変容についての解析を行う予定である。さらに、これらの腫瘍のマウスモデルを用いて、超偏極13C-MRIを撮像しながらin vivoで代謝モニタリングを行い、これらの代謝阻害剤の薬剤効果についても解析を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はCOVID19による研究活動制限・移動制限のため、当初予定していた研究の中に縮小や中断をせざるえない研究内容があったため。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] 超偏極13CMRIを用いた膵癌に対するLDH阻害治療効果の動的な可視化2020
Author(s)
大嶋野歩, 岸本俊, 石田諒, 愛須佑樹, 岡田倫明, 錦織達人, 板谷喜朗, 久森重夫, 角田茂, 肥田侯矢, 河田健二, 兵藤文紀, 松尾政之, 中本裕士, 小濱和貴, Neckers LM, Krishna MC, 坂井義治
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Journal Title
胆と膵
Volume: 41
Pages: 751-6
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[Journal Article] Dynamic Imaging of LDH Inhibition in Tumors Reveals Rapid In Vivo Metabolic Rewiring and Vulnerability to Combination Therapy2020
Author(s)
Oshima N, Ishida R, Kishimoto S, Beebe K, Brender J, Yamamoto K, Urban D, Squadrito GL, Crooks D, Jackson J, Joshi A,
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 30
Pages: 1798~1810.e4
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] MRIを用いた大腸癌におけるセラノスティクスー超偏極13C-MRIを用いた腫瘍内における代謝阻害剤効果のDynamic Monitoring~2020
Author(s)
大嶋 野歩, 小濱 和貴, 河田 健二, 肥田 候矢, 久森 重夫, 出口 靖記, 板谷 喜郎, 水野 礼, 和田 聡朗, 錦織 達人, 奥知 慶久, 岡田 倫明, 我如古 理規, Krishna Murali, Neckers Leonard, 坂井 義治
Organizer
第120回日本外科学会
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[Presentation] Real-time Monitoring of in vivo free radical scavengers through hyperpolarized [1-13C] N-acetyl cysteine2020
Author(s)
K. Yamamoto, A. Opina, K. Saito, RM Malinowski, T. Seki, N. Oshima, D. Sail, JR Brender, S Kishimoto, N Deva, JH A-Larsen, JB Mitchell, RE Swenson, MC Krishna
Organizer
ISMRM & SMRT Virtual Conference 2020
Int'l Joint Research
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[Presentation] Novel Real-time Hyperpolarized 13C Metabolic Tracer Probes γ-Glutamyl Transferase Activities in vivo Tumor Xenografts2020
Author(s)
T. Seki, K. Yamamoto, N. Oshima, M. Itoda, Y. Kondo, Y. Saito, Y. Takakusagi, S. Kishimoto, JR Brender, RM Malinowski, JH A-Larsen, H. Nonaka, MC Krishna, S Sando
Organizer
ISMRM & SMRT Virtual Conference 2020
Int'l Joint Research