2021 Fiscal Year Research-status Report
分子バーコードNGSによるリキッドバイオプシー:胃癌免疫化学療法の病勢・効果予測
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20K09055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒川 幸典 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10470197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 登 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60835239) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子バーコード / リキッドバイオプシー / 次世代シークエンサー / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
Circulating tumor DNA (ctDNA)は癌患者の血液中に微量に存在する腫瘍由来のDNAであり、体内腫瘍量のモニタリング法として、あるいは非侵襲的に腫瘍の遺伝子変異を検出する方法(Liquid biopsy)として臨床応用されつつあるが、検出感度が低いことが課題とされている。また、本研究で対象とする胃癌において、①特異的な腫瘍マーカーが存在しない、②2017年に保険承認されたNivolumabの奏効率は胃癌では約10%と低く、奏効症例を事前に予測するバイオマーカーの開発が必要、上記2点の問題点がある。本研究では、分子バーコードを用いた次世代シーケンサーを利用することで、検出感度を向上させながらctDNA解析を行い、ctDNAが胃癌に対する化学療法の効果判定に有用なマーカーとなり得るか、さらには検出した遺伝子変異のタイプや総変異量によってNivolumab治療の効果予測が可能かどうかを検討することを目的とする。 令和2年度には、切除不能進行胃癌もしくは術前化学療法を施行した患者を対象に回収した血液サンプルの内、Nivolumab投与症例を含む15症例の血漿について計33検体よりCirculating Nucleic Acid Kit(Qiagen)を用いてcfDNAを抽出した。加えて、FFPEより原発巣の情報を抽出する目的で、血液採取可能であった症例の内、当院で手術を施行した症例のFFPE13検体よりQIAamp® DNA mini kitを用いてDNA抽出を行なった。血漿とFFPE由来DNAを用い、対象遺伝子を20遺伝子に限定したターゲットシークエンスを次世代シーケンサーにより解析した。 令和3年度においては以前より回収を開始していた血液サンプルの回収・処理・凍結を継続しながら、上記のシークエンス結果の解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度も令和2年度同様に血液検体の収集を計画通り順調に進めた。 今回の研究の目的は、病勢との相関、Nivolumabの治療効果予測のバイオマーカーの探索であり、ターゲット遺伝子は、他癌でNivolumab治療の効果予測マーカー候補と報告のある遺伝子を含む20遺伝子(TP5、ARID1A、CDH1、BRCA2、ARID1B、ATM、PIK3CA、APC、MUC6、AKT1、ERBB2、CCNE1、KRAS、CDK6、EGFR、FGFR1、FGFR2、MET、RHOA、SMAD4)に決定した。上記遺伝子のカスタムパネルを作成し、depth of coverageについては、FFPEは100×、血漿は20000×に設定し、シークエンスを行なった。令和3年度において解析を進めており、VAF(variant allele frequency)が1%以上であり、COSMICデータベースで報告のある変異を抽出し、生殖細胞系バリアントの除外目的にToMMoのデータベースで5%以上の変異を認めたものを除外した。解析の結果、同一症例におけるFFPEと血漿由来のDNAの間に共通で認めた遺伝子変異は、ARID1AとTP53の変異をそれぞれ別の1症例に認めたのみであり、想定より少ない数であった。 以上より、令和3年度には症例集積は進めているものの、これまでのシークエンス結果の解析が滞っている状態であり大きな進捗はなく、研究全体としてはおおむねやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在シークエンスが完了している検体について、更に結果の解析方法を検討する予定である。更なる検体の収集を継続し、解析方法を検討した上で同一症例での解析ポイントを増やし、解析症例についても増やすことを検討している。 これらの解析により得られた結果から臨床応用の可能性が十分に期待できると考えられた場合、関連病院との多施設共同臨床研究グループにおいて、その有用性を検証するための新しい前向き臨床研究を計画する。
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Causes of Carryover |
コロナの終息が出来ていない状況で、研究・実験の進捗が遅れているため
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