2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of the role of Paxillin, focal adhesion associated factor, in the early stage of colorectal cancer to liver metastasis
Project/Area Number |
20K09067
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤岡 正喜 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (10648463)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍転移 / 肝転移 / 細胞接着斑 / 生体イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにがん肝転移患者検体を用いたNGS解析において、Focal adhesion(FA)関連遺伝子群の有意な発現上昇および予後との関連が複数報告されている。したがって、FAが肝転移巣成立に重要な役割を果たすことが示唆されている。生体内においてFocal adhesionという表現型が存在するのか、また転移巣成立との関連について明らかにする必要がある。本研究は腫瘍の肝転移における細胞基質間接着タンパクの関与に着目し、マウス肝臓への腫瘍転移成立過程における細胞接着斑関連因子の果たす役割を明らかにすることを目的として研究を行う。具体的には、マウス生態環境における細胞接着斑形成の有無の検索とその接着基質が何か(腫瘍由来、あるいは宿主正常組織由来か)、について明らかにする。 本年度は、luciferase発現がん細胞株を脾臓より注入し、生体発光イメージングにて肝転移巣を観察可能であることを確認した(マウス肝転移モデルの構築)。さらに、細胞接着斑関連因子の一つであるPaxillinについて、恒常的shRNA発現によるノックダウン細胞株を用いて、親株との肝生着能について比較解析を行った結果、対照群と比較して、Paxillin発現抑制株の肝転移能が有意に抑制されていることが確認された。また、本研究の標的とする大腸癌以外の腫瘍についても、肝転移巣の形成はその予後に大きく影響することから、種々の腫瘍についてqPCR法を用いてFAKやPaxillinなどの接着斑関連因子の遺伝子発現解析を実施した結果、膀胱癌でPaxillinの強発現が確認された。今後の解析では大腸癌だけでなく、膀胱癌についても肝転移巣形成過程におけるPaxillin発現およびFA形成との相関についても検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和二年度は新規感染症の世界的流行により所属機関の研究停止措置があった為、また、年度途中に申請者の所属機関が変更となり、研究に必要な動物実験・組換えDNA実験などの申請を新規に行う必要があった為、当初計画していた研究計画より進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書に記載のとおり、引き続き研究を継続する。 追加事項として、近年の腫瘍横断的NGS解析により、大腸癌だけでなく乳がんや子宮内膜腺癌、膀胱癌などの他の腫瘍でも細胞接着斑関連因子の発現変動が報告されていることから、研究計画を逸脱しない範囲で追加解析を行う。 また、当初計画していた二光子顕微鏡によるマウス生体を用いた観察は、申請者の所属期間変更により、実施困難である。対応策として、マウス肝転移モデルにて作出した肝転移巣を含む肝スライスを作出し、スライス培養サンプルを共焦点顕微鏡にて観察や共培養を実施するなどの、in vitro試験系に落とし込むことで、転移巣および周囲組織におけるPaxillin発現を経時的に観察する。
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