2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of metastasis, invasion, and resistance to chemo-/radiotherapy in hepato-biliary and pancreatic malignancies
Project/Area Number |
20K09069
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
和田 浩志 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 消化器外科 副部長 (00572554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 大作 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60571396)
長谷川 慎一郎 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 消化器外科医長 (60621026)
高橋 秀典 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 消化器外科副部長 (90601120)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エクソソーム / microRNA / 肝細胞癌 / 胆道癌 / 膵臓癌 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝胆膵領域癌における転移・浸潤・治療抵抗性に関する分子機構の解明を目的として,まず通常培養下および低酸素培養下での肝癌細胞株の増殖と,肝癌細胞株より分泌されるexosome量について検討した。肝癌細胞株4種(HLE,HLF,PLC/PRF/5,HuH7)を用いて,通常酸素下もしくは低酸素環境下で培養して増殖能を比較すると,低酸素培養下ではいずれの細胞株においても有意に増殖が抑制された(p<0.05)。細胞上清中のExosomeをExoQuick-TCを用いて抽出し,細胞当たりのExosome分泌量を通常酸素下と低酸素下で比較すると,HLE,HLF,PLC/PRF/5の3株で有意に低酸素下で分泌されるExosome量が増加していた。 先行研究により,低酸素下において肝細胞癌から分泌されるexosomeが血管内皮細胞の脈管形成を促進し,exosomeに内包されmicroRNAのうち,miR-155が低酸素培養下で有意に増加していることを確認している。そこで肝細胞癌切除例の切除標本および血清を用いて,血清中のmiR-155発現および切除標本におけるHIF-1alpha,VEGF,CD34による血管内皮細胞染色による微小血管密度(Microvessel Density)計測を行った。miR-155高発現群では,HIF-1alphaおよびVEGFの発現が亢進している傾向があり,MVDは有意に増加していた。また,miR-155高発現群の無再発生存率は,有意に不良であった。 今後は,通常培養下および低酸素培養下で肝癌細胞もしくは血管内皮細胞より分泌されるエクソソームを抽出し,トランスクリプトーム解析,microRNAアレイを行い標的分子を同定するとともに,切除標本の新鮮サンプルよりオルガノイドを作成し,腫瘍細胞由来のエクソソームを抽出することで,標的分子の発現を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝細胞癌の培養上清よりエクソソームを抽出し,血管内皮細胞に作用させる実験系は確立している。先行実験を含めてmiR-155が肝細胞癌における血管新生促進および浸潤・転移に関与していることを見出すことができた。今後,miR-155の働きを中心に,胆道癌,膵臓癌において,がん関連線維芽細胞への作用を検証する予定にしている。また,エクソソーム内のmicroRNAを網羅的に解析することで標的分子同定を進めていく予定にしているため,概ね順調に進展していると考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
肝癌細胞を低酸素下に加えて,熱ストレス,抗癌剤暴露下で培養し,その培養上清よりエクソソームを抽出する。低酸素培養下のエクソソームには,miR-155が多く含まれており,これが血管新生を促進することは確認した。同時に,エクソソームをトランスクリプトーム解析,microRNAアレイを行い標的分子の同定を行う。また,臨床サンプルを用いて,血管新生の評価を行ったが,原発巣と転移巣,腫瘍中心部と浸潤部における,がん関連線維芽細胞の分化を評価する予定にしている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で,PC製品の納入が遅れたため,次年度以降の納品となった。また,当初予定していた学会参加については,Web開催であり,出張費が不要であった。2020年度から2021年度に予定してるトランスクリプトーム解析,micorRNAアレイについては,2021年度に行うことにしたため次年度使用額が生じた。次年度使用額および翌年度分として請求した助成金と合わせて,PC購入,試薬の購入,トランスクリプトーム解析およびmicroRNAアレイなどに使用する予定である。
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