2020 Fiscal Year Research-status Report
蛍光蛋白質導入レオウイルスを用いた診断治療一体型ナビゲーション手術の開発
Project/Area Number |
20K09082
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
衛藤 剛 大分大学, 医学部, 准教授 (00404369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
山田 健太郎 大分大学, 医学部, 准教授 (70458280)
小川 雄大 大分大学, 医学部, 医員 (40733621)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腹膜播種 / 遺伝子組み換えレオウイルス / 術中蛍光イメージング / 光線力学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は治療困難な消化器癌の腹膜播種やリンパ節転移に対する術中イメージング・光線力学療法に適した蛍光蛋白質を発現する遺伝子組換えレオウイルスを作成し、術中微小癌診断と殺癌細胞効果を同時に行うという診断治療一体型ナビゲーション手術の開発を行うことである。 2020年度は、レオウイルスのM1分節にBDFP1.8およびKillerRed(商品名)の遺伝子配列を組み込んだものを人工合成遺伝子受託サービスにて入手し、そのほかのレオウイルスゲノム分節とともにBHK/T7-9細胞へトランスフェクションし、導入型のレオウイルスを作製した。作成したウイルスを新たなBHK/T7-9細胞に感染させ、継代し、大量に複製した。継代中に蛍光蛋白遺伝子が切断されたウイルスが発生したが、継代前のウイルスを希釈することで蛍光発現しないウイルスを減らすことができた。3継代目までは挿入遺伝子が安定であることが確認できている。 またRAS変異の発現が分かっている胃癌細胞株(MKN7、MKN45P、NUGC-4)及び膵癌細胞株(panc1,PK1)に対して感染実験を行い、感染及び蛍光発現を確認した。そのほかウエスタンブロットやRT-PCRにてウイルスの定性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間は3年を予定しており、組み換えレオウイルスを用いた腹膜播種やリンパ節転移の術中イメージング及び光線力学的療法を開発することである。 令和2年度は<1>BDFPおよびKillerRed発現組換えレオウイルスの作成、<2>培養細胞での性状評価を行った。 具体的には<1>BDFPおよびKillerRedの遺伝子配列をレオウイルスのゲノム分節(M1およびS2)に組み込んだものを受託合成により入手し、ほかのゲノム分節と合わせてBHK/T7-9細胞にトランスフェクションし、組み換えウイルスを作成した。<2>作成したウイルスはさらに新たなBHK/T7-9細胞にて複製した。ウェスタンブロット、RT-PCR、シーケンスにより組み換えウイルスができていることを確認し、RAS変異があることが分かっている胃癌細胞株(MKN7、MKN45P、NUGC-4)および膵癌細胞株(panc1、PK1)を用いて感染実験を行い、感染能およびタンパク発現を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroにおいて、BDFP発現組換えレオウイルスおよびKillerRed発現組換えレオウイルスの増殖性・殺細胞効果・蛍光発現は確認された。今後、癌細胞を接種したマウス(皮下および腹膜播種担癌マウスモデル)を用いて、作成したBDFPおよびKillerRed発現組換えレオウイルスの術中蛍光イメージングによる微小播種診断の有用性をex vivoイメージング等により評価し、さらに抗腫瘍効果も明らかにする。細胞株としては、 in vitroで最も蛍光発現が強かった低分化型印環細胞癌(NUGC-4)により皮下結節での組換えレオウイルスのViabilityを検討する。そして、腹膜播種担癌マウスモデルとして高頻度胃癌腹膜播種株(MKN45P)および腺がん低分化型株(OCUM-1)での組換えレオウイルス蛍光発現、抗腫瘍効果を実証する。
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