2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09083
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐瀬 善一郎 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10468126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90611749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃癌 / ARID1A / 合成致死 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体のひとつであるARID1A遺伝子変異に対する特異的な治療法の開発を目指した基盤的研究を主におこなう。ARID1Aはがん抑制遺伝子であるために直接の標的とすることができないため、合成致死に基づく特異的阻害剤の有用性を検討する。今回、我々はEZH2をARID1A欠損胃癌細胞における合成致死にいたる標的と見定め、3つのEZH2阻害剤を用いて細胞実験を進めることとした。まず、ARID1A野生型細胞と欠損細胞においてEZH2阻害剤添加による細胞増殖率やコロニー形成能の変化を観察した。その結果、ARID1A欠損細胞ではARID1A野生型細胞と比べてEZH2阻害剤にて細胞増殖率が低下し、さらに、コロニーが形成されなくなることを見出した。これは、3つのEZH2阻害剤でも同様の結果であって、再現性のある結果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の解決に向けた細胞実験系の立ち上げをおこない、予想した通りのPositiveな実験結果を得られはじめている。また、解析に用いる症例の検体を集め始めることができたことと、臨床病理学的因子の収集を始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ARID1A野生型細胞においてARID1Aをノックダウンして、EZH2阻害剤の有用性を検討する。解析手法はいままで同様、コロニーファーメーションアッセイやMTTアッセイ法を用いる。また、合成致死に至る経路、細胞増殖が抑制される経路としてPI3K/AKT経路に着目したところ、ARID1A発現が抑制されるとPI3K/AKT経路が活性化することが細胞実験系で確認された。この結果をもとに、活性化したPI3K/AKT経路を標的とした治療法の開発ができるかどうか検討して、本研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
主に検体収集と臨床病理学的因子の収集をおこなったために、使用額が少なかった。また、細胞実験においては他の研究の残余物品を用いたために物品費がかからなかったが、今後は本研究用の物品を多数購入する予定である。また、情報収集や解析結果を学会発表する費用や論文として公表する費用に充てられる。
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