2020 Fiscal Year Research-status Report
ポストゲノム解析:糖結合レクチンによる胃癌プロファイリングと新規診断、治療法探索
Project/Area Number |
20K09097
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
明石 義正 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50709722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 竜也 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20282353)
下村 治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60808070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スキルス胃癌 / rBC2 / レクチン薬物複合体 / 胃癌ゲノム型 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
(内容)胃癌の中でも予後が最も不良で未だ十分な治療成果のあげられていないスキルス胃癌に対して、その癌細胞表面に表出する糖鎖に着目して、糖鎖発現の通常型胃癌との差異について解析した。その結果スキルス胃癌で発現の高い糖鎖8種類と、スキルス胃癌で発現の低い糖鎖11種類が明らかとなった。 まずは、スキルス胃癌での発現が高い糖鎖に対する結合レクチンを用いた新規薬物治療の可能性についての探索を行なった。2種類の候補糖鎖のうち、BPLレクチンは結合性は高いものの血液凝集反応を示すことから生体への投与が困難であることが判明し、次にrBC2レクチンについて検討を行なった。rBC2レクチンは先行研究で膵癌及び大腸癌に対して生体投与が可能で高い抗腫瘍効果を示すことが判明しており、同様の解析によりスキルス胃癌細胞株及び臨床検体の免疫染色で高発現であることを確認し、マウスを用いたin vivo試験により高い抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。 この成果を踏まえて治療薬としての更なる臨床応用可能性について現在検討を進めている。 また、この糖鎖発現と胃癌ゲノム型の違いについては、臨床検体を用いた全ゲノム解析の準備を進めているが、予定していた症例数のスキルス胃癌が集積しておらず、進捗にやや遅れを生じており、今後解析を加速させていただく予定である。
(意義)スキルス胃癌に特異的に発現する糖鎖を標的としたレクチン薬物複合体の新規治療の可能性を検証することができた。今後は本研究のもう1つの主要課題である、胃癌ゲノムプロファイルと表出糖鎖との関連についての解析、さらにはそれを応用したバイオマーカーとしての臨床応用可能性についての検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、1)スキルス胃癌に対する糖鎖を標的とした新規薬物治療開発、2)胃癌の糖鎖プロファイリングとゲノム型・遺伝子異常の相関、3)胃癌特異的糖鎖の生体バイオマーカーとして応用、の3つを主要な目的として計画した。
そのうち、1)のスキルス胃癌の糖鎖プロファイルとそれを標的とした新規治療については予定通りの進捗で一定の成果が得ることができたが、その成果を得るために計画よりもやや遅れが生じてしまい、2)、3)の研究については今年度中に進行させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)スキルス胃癌に対する糖鎖標的薬物治療開発 一定の研究成果が得られたため、現在成果をまとめて論文執筆中であり年内の論文発表を目指す。 2)胃癌の糖鎖プロファイリングとゲノム型・遺伝子異常の相関 細胞株を用いた全ゲノム解析を実施し、胃癌の主要な4ゲノム型との相関についての解析を実施する。また臨床胃癌摘出検体でも同様に全ゲノム解析を実施するとともに、レクチンマイクロアレイを用いた糖鎖解析を実施し、その相関の有無、バイオマーカー候補となる糖鎖の選別を行う。 3)胃癌特異的糖鎖のバイオマーカーとしての有効性探索 まずは2)でバイオマーカーとなりうる糖鎖の選別を優先して実施し、その成果が得られたのちに、生体(健康非胃癌患者と胃癌患者)での検出可能性についての研究を進める。
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Research Products
(1 results)