2021 Fiscal Year Research-status Report
ポストゲノム解析:糖結合レクチンによる胃癌プロファイリングと新規診断、治療法探索
Project/Area Number |
20K09097
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
明石 義正 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50709722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 竜也 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20282353)
下村 治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60808070)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スキルス胃癌 / ゲノム / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
(内容)胃癌細胞株に発現する糖鎖をスキルス胃癌細胞株と非スキルス胃癌細胞株を用いてレクチンマイクロアレイにて網羅的に解析した。その結果、スキルス胃癌に結合性の高い8種類のレクチンと結合性の低いレクチン11種類を同定した。スキルス胃癌に特異性の高いレクチンは、スキルス胃癌の早期診断及び治療標的の候補となり得ると考えられ、結合性の高さからBPLレクチン、及びrBC2LCNレクチンの2つを候補として選別した。しかしながら、BPLレクチンは血液凝集試験においてO型血液を除いて血液凝集を示すことから生体への投与は困難と判断し、次候補としてrBC2LCNレクチンを選別。このレクチンは先行研究において、血液凝集を示さないこと、rBC2LCNレクチンと薬物複合体が膵癌及び大腸癌モデルにおいて非標的薬剤と比較して、高い腫瘍効果を示していたことから、スキルス胃癌移植マウスモデルを用いてその有用性を検討したところ膵癌や大腸癌と同様に抗腫瘍効果を示すことが明らかになった。 このrBC2LCNレクチンと薬物複合体が新規薬物治療として使用可能かどうか、大型動物を用いて現在実証段階である。また、このレクチンを早期診断のバイオマーカーとして検出可能かどうかの検討を実施している。具体的には血中遊離がん細胞をrBC2LCNレクチンで標的して検出する方法であるが、がん細胞よりも血中に多く存在する好中球やリンパ球との非特異的結合を回避して結合させる方法の確立を現在進めており、次段階として臨床検体を用いた検出性について検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バイオマーカーとしての血清及び組織における検出、及び新規薬物治療としての開発は概ね計画通りに進んでいる。一方で、スキルス胃癌特異的糖鎖とゲノム型・遺伝子異常の関連に関しては、ゲノム解析にまわす検体候補の選別段階であり、当初計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム解析が遅れている理由として、膵癌における先行研究で癌特異的糖鎖と膵癌遺伝子異常の関連性が明瞭に示せていないことがある。膵癌オルガノイドを用いて、膵癌特異的糖鎖と遺伝子異常の関連性について先行研究を実施しているが、これらの間に1対1となるような明瞭な相関関係は確認できていない。おそらく糖鎖は生体内で様々な修飾を受けることがその一因と考えられるが、このような状況でゲノム解析を当初計画通りに実施する意義そのものについて、現在再考している。そのため、今後はバイオマーカーとしての早期診断に重点をおいた研究を計画、実施中である。
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Causes of Carryover |
ゲノム解析費用及びCOVID-19による渡航制限等による国内、国外出張経費の未使用により残額が生じたため。
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Research Products
(1 results)