2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of polymeric contrast agent for MRI and fluorescence dual imaging
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20K09103
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
貝田 佐知子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70710234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲 成幸 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10359771)
谷 眞至 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / 転移性肝癌 / 造影MRI / 蛍光色素 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の診断・治療では、的確に癌病巣の進展度を判断することが治療成績の向上、低侵襲治療につながる。特に腫瘍を切除する手術に際しては、術前・術中・術後における診断と治療のための画像支援が必須である。画像支援の中でも組織分解能が高く被曝の心配がないMRI(磁気共鳴画像)が有用である。我々は高分子ナノキャリアを用いたドラッグデリバリーシステム(DDS)に着目し、MRI造影剤(ガドリニウム:Gd)と蛍光色素(Fluorescent dye:FD)を含有した高分子ナノキャリアがあれば、MR画像と蛍光画像により、術前・術中・術後において癌病巣の状態をより的確に、またシームレスに診断と評価ができると考えた。本研究は、MRI造影剤および蛍光色素を含有する独自の高分子ナノキャリアを開発するものであり、MRIで腫瘍の強い造影効果を示し、さらに手術中には腫瘍の蛍光ナビゲーションとしても使用しうる、MR画像と蛍光イメージによる新規DDS診断法を創造するものである。今回、我々は5-20nmに調整された高分子ポリマーを作成し、Gd含有が3mg/mlであることを確認している。また本ポリマー内部には蛍光色素(AlexaFluor647およびAlexaFluor488)を含有しており、実際にマウス膵癌(BxPC3)モデルに投与したところ癌細胞に蛍光色素が集積していることを確認した。本年度は、作成した高分子ポリマーをラット肝癌モデルに投与することでMRI造影効果および蛍光効果を確認する実験を行った。結果、ラットの肝腫瘍モデルは作成に成功したものの、十分な蛍光効果およびMRI造影効果を得ることができず、ポリマーの構造についての改変は今後の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRI造影剤であるGd-DOTA/Alexa含有の高分子ポリマー製造が遅れているため。 原因として、コロナ窩における物流システムの停滞、ポリマー入手の遅れが挙げられる。 さらに、今年度は出張制限により東京への訪問の回数が減少し、出張の際に行うミーティング、高分子ポリマーの受け渡しが不能となったため、滋賀医大での動物実験での投与ができない期間が長くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
高分子ミセル構造は、水中で安定となるがその大きさを揃えることや、内包させるための薬剤の量や種類について制限があるものであった。また今回作成した、MRI造影剤/蛍光色素内包高分子ミセルは、ラット肝細胞モデルに投与した後も、有意なMRI造影効果や蛍光効果を認めなかった。 以上のことから、今後は新しい発想として、高分子ポリマーの片端に、送達させたい造影剤(今回の場合MRI造影剤および蛍光色素)をつけたものを作成することで、これまでのような安定性の問題や、薬剤の量および種類の制限を緩和できる可能性があり、さらに担癌モデルに使用することでドラッグデリバリーの効果を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由 東京大学大学院医学系研究科 カブラル研究室にてMRI/蛍光色素含有高分子ナノミセルを作成し、作成したナノミセルを製剤化して滋賀医科大学外科学講座に搬送、ラットの使用する予定であったが、ナノミセル作成の際に薬剤含有量を測定したところ、MRI造影剤および蛍光色素のいずれも含有量が規定量に達せず、低容量であったため、ナノミセル型製剤からポリマー型製剤へ変更することを提案し、製剤の検討過程で製造が遅れ、動物実験を完遂することができなかったため。 使用計画 本年度では改良して作成された新規のMRI/蛍光色素含有高分子ポリマー型薬剤を製剤化し、滋賀医大に搬送した後、滋賀医科大学外科学講座では再度ラット肝転移モデルを作成し、同モデルに薬剤を投与してMRI造影効果、および腫瘍の蛍光色素集積効果を確認する予定である。
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