2021 Fiscal Year Research-status Report
エキソソーム内包microRNA/遺伝子制御による胃癌腹膜播種の原因究明
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20K09107
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藏重 淳二 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (90594474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江藤 弘二郎 熊本大学, 病院, 特任助教 (40585717)
原田 和人 熊本大学, 病院, 特任助教 (70608869)
山下 晃平 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (00867202)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胃癌 / 腹膜播種 / SERPINE2 / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれは、腹膜播種モデルマウスを用いて、腹膜播種性転移に有意に働き、胃癌患者の予後を大きく規定する遺伝子を治療標的と考えその探索を行った。その結果、SERPINE2という遺伝子が、癌の腹膜播種に深く関与している可能性を見出した。SERPINE2は、主に細胞外マトリックス(ECM)に存在し、内皮細胞、線維芽細胞、マクロファージ、血小板、平滑筋細胞、軟骨細胞、アストロサイト、腫瘍細胞など多くの種類の細胞から分泌される。SERPINE2は、乳癌、膵臓癌、大腸癌など多くの癌で過剰に発現し、腫瘍の浸潤と転移に寄与していることが報告されている。 当科に施行された胃癌切除検体46例を用いてSERPINE2のreal-time PCRを行い、SERPINE2高発現群と低発現群の2群に分けた。すると、SERPINE2高発現群において、全生存期間、無再発生存期間が低い傾向にあり、SERPINE2の発現が予後に影響することが示唆された。また、SERPINE2高発現群において、胃癌腹膜播種を起こす頻度が有意に高かった。 また、In vitroで胃癌腹膜播種におけるSERPINE2の関与を証明するために、胃癌細胞株を用いて実験をおこなった。実験にはスキルス胃癌より樹立されたHSC58と、これをマウスに移植し、その腹膜播種から樹立した細胞株58As9を用いた。siRNAを用いてSi SERPINE2を行い、増殖能、浸潤能を確認した所、Invasion assayにおいてSi SERPINE2細胞株では、有意に浸潤能が下がっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
胃癌腹膜播種における重要な遺伝子としてSERPINE2という遺伝子について着目した。SERPINE2の生物学的機能は、様々な種類の腫瘍において多様である。SERPINE2はextracellular-matrixにかかわる分子である。今後この分子におけるin vitro, in vivoでの役割について研究を続けていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
胃癌腹膜播種における重要な遺伝子としてSERPINE2と遺伝子について着目している。これらは、extracellular-matrixの構成成分で、現在、これらの分子かかわる薬剤にて腹膜播種に対する治療を検討中である。SERPINE2に関しては、既存の抗凝固薬がその抑制薬剤として存在しており、in vivoにおいてこれらの薬剤が胃癌腹膜に対して効果があるのかを検討する予定である。 また、現在までの進捗について論文をまとめて査読、提出予定である。
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Causes of Carryover |
理由:試薬、消耗品については、医局内保管のものを使用することができた。また、旅費については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により学会開催形式がハイブリッド開催へ変更となる事が多く出張が減った為、未使用額が生じた。
使用計画:試薬、消耗品の購入及び研究データの管理、資料整理を行ってもらうための事務補佐員の雇用経費に充てたい。また、最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。
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