2020 Fiscal Year Research-status Report
肝癌における5-アミノレブリン酸を用いた超音波力学療法の破壊効果
Project/Area Number |
20K09113
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
井上 善博 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90646762)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 5-アミノレブリン酸 / 超音波力学療法 / 肝癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波増感剤である5-アミノレブリン酸 (5-ALA)の投与により、その代謝産物であるプロトポルフィリンIX (PpIX)が標的となる腫瘍細胞内に選択的に蓄積する。そこに超音波を照射することで腫瘍細胞に対して破壊効果を増強する、5-ALAを用いた超音波力学療法(sonodynamic therapy, SDT)について、その効果を検証する。 5-ALAを用いたSDTは他治療と比べて非侵襲的であり、組織深達度に優れていることから、深部の腫瘍に対して腫瘍選択的で効率的な治療が可能となる。本研究の発展により、様々な領域の腫瘍に対して、侵襲の少ない戦略を描くことが期待できる。 具体的には、腫瘍細胞株や肝癌モデルに対して、in vitroおよびvivoでの5-ALAを用いたSDTにより増強した抗腫瘍効果および安全性を検証する。 2020年度は、研究の基礎となる5-アミノレブリン酸による光線力学診断 (photodynamic diagnosis: PDD)と光線力学療法 (photodynamic therapy: PDT)の検証を行った。消化器癌手術に際して、5-アミノレブリン酸投与を術前投与することにより、術中蛍光観察から腫瘍の可視化および浸潤範囲、切離断端、腫瘍の残存を検討した。摘出した腫瘍性病変と非腫瘍性病変より、蛍光分光光度計でプロトポルフィリンIXの蛍光強度を測定し、蛍光強度との関係を定量化し、病理組織学的結果も踏まえ比較、検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5-ALAによるPDTの予備実験における腫瘍縮小効果などは証明できており、5-ALAを用いたSDT療法を検証するために段階毎に研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、in vitroにおける5-ALAを用いたSDTを検証する予定である。 1.種々の細胞株における、5-ALAの腫瘍への選択的集積を確認する。HepG2ヒト肝癌由来細胞株など種々の腫瘍細胞株において、5-ALA添加培養液(10% FCS RPMI)を加えて培養する。培養後、細胞抽出液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分画し、PPIX特異的蛍光により細胞内PpIX量を定量する。2.5-ALAによる細胞毒性発生の投与量を確認する。3.単一細胞株において、超音波照射の至適出力および時間を確認する。HepG2ヒト肝癌由来細胞株に対して、1-3MHzの超音波を1,3,5W/cm2, 30-180秒間(30,60,120,180秒)照射する。照射6,12,24時間後に蛍光顕微鏡を用いて生細胞/死細胞の実数をカウントして腫瘍生存率を算出し、比較・検討する。また、超音波照射による活性酸素種、脂質過酸化やミトコンドリア膜電位の変動について確認する。 また、実験基礎となる肝癌モデルを作成する。つまり、異所性移植モデル、同所性移植モデル、NASH-発癌モデルを作成する。 これらの研究は、研究着手に向けての連絡状況として、研究協力者や同施設内における皮膚科、脳神経外科、泌尿器科研究室と密に連絡を取りながら実験方針・手技について討論しながら研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
前倒しをして光線力学診断を他の薬で可能かの検証目的にクラリティーコンソール購入したが、若干の次年度使用額が生じた。次年度は超音波力学診断の研究を実施するため、その費用に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)