2020 Fiscal Year Research-status Report
プレグナンX受容体を介する大動脈弁異所性石灰化機序の解明と病態生理学的意義の実証
Project/Area Number |
20K09117
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大徳 和之 弘前大学, 医学研究科, 教授 (50374822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬谷 和彦 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40281919)
于 在強 弘前大学, 医学研究科, 助教 (40624268)
今泉 忠淳 弘前大学, 医学研究科, 教授 (90232602)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重症大動脈弁狭窄症 / 大動脈弁間質細胞 / Wnt5a / CD34陰性細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】加齢変性と石灰化による重症大動脈弁狭窄症(AVS)の手術症例が増加している中、石灰化の進行を抑制する薬物治療法は未だに確立されていない。最近我々は腫瘍壊死因子(TNF)-αや高リン酸が大動脈弁異所性石灰化を亢進させることを明らかにした。しかし、骨形成に関わるWnt非古典的経路の活性化によって高発現する遺伝子Wnt5aがTNF-αや高リン酸誘発性石灰化において果たす役割は不明である。 【目的】大動脈弁のTNF-αや高リン酸誘発性石灰化におけるWnt5aが果たす役割および分子機構を解明する。 【方法】本研究に先立ち倫理委員会へ申請した。十分な説明後に承諾を得た患者を研究対象とした。手術で切除したにAVS患者の石灰化大動脈弁より間質細胞(HAVICs)を単離培養した。石灰化はカルシウムと結合する色素Alizarin Red S を用いて検出した。遺伝子発現はReal time-PCR法で調べた。 【結果】AVS患者の石灰化した大動脈弁より単離したHAVICsはTNF-α(30 ng/mL)や高リン酸(3.2 mM)条件下で石灰化が起こり、同時にWnt5aの遺伝子発現も亢進した。また、HAVICs中に多く含まれるCD45陰性及びCD73/90/105陽性未分化細胞のうち、CD34陰性細胞が陽性細胞よりWnt5a遺伝子を強発現しており、高リン酸条件下で石灰化しやすいことを見出した。さらに、抗炎症作用を有する漢方薬、黄連解毒湯の有効成分、berberineがTNF-αや高リン酸誘発性HAVIC石灰化を抑制すると同時に、Wnt5a遺伝子の発現亢進も有意に抑制した。 【結論】以上の結果は、TNF-αや高リン酸誘発性HAVIC石灰化においてWnt5aが石灰化亢進に寄与することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々の研究で明らかにした骨形成に関与する遺伝子Wnt5aについて、詳細に検討するため当初の研究の遂行が遅れてしまった。動物実験における薬物送達システムの予備研究も同時進行で行っていたが、本校での動物実験施設の改修の年に当たり、こちらも研究が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
プレグナンX受容体に関する研究は2019年度に成果をあげており、論文化している。大学院生も新たに入学したことから、研修を遂行する準備は整った。、動物実験施設の改修の年も終了したことで、動物実験における薬物送達システムの予備研究も遂行する事が可能と思われる。
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