2021 Fiscal Year Research-status Report
血管周囲脂肪細胞による血管壁炎症に着目した腹部大動脈瘤形成の機序解明と治療戦略
Project/Area Number |
20K09122
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐々木 健 浜松医科大学, 医学部, 技術専門員 (20397433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
財満 信宏 近畿大学, 農学部, 教授 (40455572)
佐野 真規 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40733514)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 炎症 / 血管周囲脂肪細胞 / 血管内血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹部大動脈瘤(AAA)は進行性の大動脈疾患であり、最終的に破裂すると高い死亡率に至る。大動脈をはじめとする血管には血管周囲脂肪組織が存在し、そこには多数の脂肪細胞(血管周囲脂肪細胞:perivascular adipocyte: PAC)が含まれる。我々の研究では、このAAA病変のPACは過剰に脂質を取り込んで悪玉化しており、炎症性のサイトカインを高発現していることを見出した。さらにこれらのPACが存在するAAAの外膜領域において、様々な炎症細胞の高度な浸潤が認められた。一方、大動脈をはじめとする血管には血管内血管や血管内リンパ管が存在し、その血管壁における様々な分子や細胞(炎症細胞など)の運搬を担っていると考えられている。 前年度までの研究で、我々は、AAA病変におけるその血管内血管の変化についても調べたところ、外膜境界域で血管内血管は巨大化し、血管内皮細胞で細胞間接着分子の低下や内皮細胞自身のアポトーシスが認められ、さらに出血様の病理所見も多数観察されたことから、AAAにおける血管内血管の脆弱化が示唆された。 一方で動脈硬化巣と同様に、大動脈瘤病変の内膜にも血管内血管が存在していることが知られている。本年度はこの内膜の血管内血管について検討を加えた。その結果、内膜内では血管内血管が増加し、それらは外膜の血管内血管と接続していたため、外膜より延伸してきた血管内血管であることが考えられた。またこの内膜内の血管内血管は病変の進行により増加することも示された。以上のことから、この血管内血管の変化は、大動脈瘤における炎症に起因する血管新生因子によることが予想され、大動脈瘤の進展に関与する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度も引き続いた新型コロナ感染拡大の影響により、研究の進捗は停滞した。具体的には、コロナ感染の影響による人的な活動制限が大きな影響であったと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もコロナ感染拡大の影響は続くと思われるため、研究機関の適切な延長申請等により、時間はかかっても着実に研究を推し進める予定である。具体的な内容としては、主に動物実験を進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大により大学における研究活動に支障が生じ、研究課題の計画に変更が生じた。これにより当該年度の予算執行が計画通りに行われなかった。 次年度は、コロナウィルス感染拡大の社会情勢をにらみながら、適宜研究活動ならびに予算執行や延長等を行いながら着実に研究を進める予定である。
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Research Products
(6 results)