2020 Fiscal Year Research-status Report
N型カルシウムチャンネルが腹部大動脈瘤発症・進展に与える分子機構の解明
Project/Area Number |
20K09127
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
内田 治仁 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00550857)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / N型カルシウムチャンネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腹部大動脈瘤の発症・進展におけるN型カルシウムチャンネルの意義について着目し、腹部大動脈瘤に対する新規治療法開発への足がかりとして、その重要性と分子機構を解明することを目的としている。 本年度は、まず高脂血症モデルのN型カルシウムチャンネルノックアウトマウス作成を行った。N型カルシウムチャンネルノックアウトマウス(α1Bノックアウトマウス)とapoEノックアウトマウス(以下apoE KO)を入手・交配し、N型カルシウムチャンネル/apoEダブルノックアウトマウス(以下DKO)を作成した。 次に、オス8~10週齢のDKOマウスとapoE KOマウスそれぞれに対してアンジオテンシンII(以下AngII、1,000ng/kg/min)あるいは生理食塩水を4週間、浸透圧ポンプを用いて投与した。生理食塩水を投与したマウスでは、体重、血圧、総コレステロール値、大動脈径などに関して群間で差は認められなかった(各N=5)。AngIIを投与したマウスについては、体重、血圧、総コレステロール値について群間で差は認められなかった。大動脈径については統計学的にわずかに有意でないものの、DKOマウスのほうで小さい傾向にあった。腹部大動脈瘤の発症率においても、統計学的にわずかに有意でないものの、DKOのほうで腹部大動脈瘤の発症抑制の傾向が認められた。免疫組織学的な検討においても、DKO群でapoE KO群と比べてマクロファージの病変部への浸潤が抑制されていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画のひとつめ、①N型カルシウムチャンネルノックアウトマウスにおける腹部大動脈瘤発症・進展に対する影響の検討、についてマウスの作成および実際に腹部大動脈瘤発症に関する評価をin vivoで行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
DKOマウスにおける腹部大動脈瘤の発症抑制効果を統計学的に有意になるまでもう少しNを増やし検討を進める。次に、研究計画書の2つ目である、N型カルシウムチャンネル阻害薬の腹部大動脈瘤発症・進展に対する影響の検討を行う予定である。
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