2020 Fiscal Year Research-status Report
術中心筋保護に対するアクアポリン7欠損の影響と作用機序の解明
Project/Area Number |
20K09134
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
藤井 正大 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60297926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 雄二 日本医科大学, 医学部, 講師 (50328837)
別所 竜蔵 日本医科大学, 医学部, 教授 (60281432)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクアポリン7 / 心筋保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
アクアポリン7(AQP7)は、グリセロールと水を通過させるチャンネルであるアクアグリセロポリン・ファミリーの1つで心臓組織にも分布する.最近、AQP7が心筋細胞においてグリセロールの取り込みを促進させ,グリセロールが心臓エネルギー産生のための基質であることが証明された.これまでにAQP7が欠損した週齢13週以上(成人相当)の心臓においてSt Thomas’Hospital 2心筋保護液(STH2)は有効に作用することを報告してきた.しかし,AQP7欠損マウスにおいては週齢12週以降になると肥満が進むことやインスリン抵抗性が高まることが指摘されており(Hibuse Proc Natl Acad Sci USA 2005),今回われわれはエイジングの関与を検討した. Charles River社に復元・作製、繁殖を依頼したAQP7 Knock-out(KO)マウス(雄,C57/B6N)のうち週齢が12週未満のWild-type(WT)もしくはAQP7-KOマウスの摘出心をLangendorff装置で好気的に灌流し,心機能として左室発生圧(Left ventricular developed pressure:LVDP)を測定した.その後,(実験1:Control)では25分間の全虚血,(実験2:STH2)では5分間STH2投与後に20分間の全虚血,を施し引き続き60分間の再灌流を行ってLVDPの回復率を測定した.再灌流後に心筋障害の指標としてTroponin T(TropT),心筋浮腫の指標として水分含有量を測定した. (実験1)WT,AQP7-KOにおけるLVDPの最終回復率(Recovery of LVDP:%)はそれぞれ,46.6±15.4%,47.3±21.4%であった(p=0.9555).Trop T(ng/g wet wt)測定値はそれぞれ,934.0±341.1,1089.3±182.5であった(p=0.3485).各群の水分含有量に有意差は認めなかった.(実験2)WT,AQP7-KOにおけるLVDPのRecovery of LVDPはそれぞれ,66.75±11.1%,68.79±6.9%であった(p=0.7086).Trop Tの測定値はそれぞれ,75.6±45.9,80.2±52.2であった(p=0.8743).各群の水分含有量に有意差は認めなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本学の動物実験計画の承認を得て、Charles River社にアクアポリン7欠損マウスの復元・作製、繁殖を依頼した。当該研究の課題1ではアクアポリン7欠損がエイジングに対して及ぼす影響を検討するための、若週齢(11週未満)のマウスを使用した研究の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1の継続で、週齢24週以上(老年群)のマウスを使用して検討する。その後、虚血時間を延長して、STH2の心筋保護効果を比較検討する。
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Causes of Carryover |
研究は順調に進んでいるが、研究課題1の途中であったため消耗品の購入が予定より安く済んだため差額が生じたので次年度に使用する。
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