2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K09138
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小笠原 弘之 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90868118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 重人 東北大学, 大学病院, 准教授 (00420042)
齋藤 昌利 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00451584)
星合 哲郎 東北大学, 大学病院, 講師 (10569560)
戸子台 和哲 東北大学, 大学病院, 准教授 (50581641)
菅原 宏文 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (60451572)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 創傷治癒 / 虚血性創傷 / ヒト羊膜 / 血管新生促進効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度においても、前年度までと同様に、Hofmannらが発表したラット虚血性潰瘍モデル(Hofmann A et al. TISSUEENGINEERING:2017)を参考にした腹部虚血創ラットモデルを用いてヒト羊膜の虚血創における創傷治癒促進効果を検証した。実験群として、ラット虚血性潰瘍モデルの虚血創に対してヒト羊膜を移植する「羊膜移植群」と移植しない「コントロール群」に分けた。術後、創傷の面積を測定し創傷の治癒率を2群で比較し、上皮化促進、血管新生促進、抗炎症の3つの観点から創傷治癒促進効果のメカニズムの検討を行った。その結果として、ヒト羊膜を使用することによる創傷治癒促進効果が確認され、さらに血管新生促進効果についても有意な結果が得られた。一方で、抗炎症効果はここまでの解析では明らかとならず、現時点においては、ヒト羊膜が血管新生を促進することにより虚血性創傷の治癒を促進する可能性が示唆される結果が得られた。 さらにヒト羊膜の臨床使用を前提に、凍結保存した羊膜を用いた同様の検証を行ったところ、新鮮羊膜使用時と同様、有意な血管新生促進作用が認められた一方で、創傷治癒促進効果については認められず、新鮮羊膜と凍結保存後の羊膜で異なる結果となった。その原因については研究期間終了時においても検証中であるが、羊膜を凍結保存・解凍後の組織学的評価にて、羊膜の最内層に位置する羊膜上皮細胞の変性が明らかとなっており、また、同細胞は種々のサイトカインを産生することが明らかにされていることから、羊膜上皮細胞の変性が創傷治癒効果に負の影響をもたらした可能性があると考えている。臨床応用時には凍結保存した羊膜の使用が想定されるため、創傷治癒促進効果を新鮮ヒト羊膜と同等に維持するための凍結・解凍法の確立が必要であると考えている。
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Research Products
(2 results)