2020 Fiscal Year Annual Research Report
血管内リアルタイムモニタの開発:下肢閉塞性動脈硬化症におけるレーザ治療への応用
Project/Area Number |
20K09144
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 祐直 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80397380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬塚 和徳 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (00397415)
海野 直樹 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (20291958)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 下肢閉塞性動脈硬化症(ASO) / エキシマレーザ / リアルタイムモニタ / バイパス手術 / 血管内治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の治療に用いられるエキシマレーザは2020年4月に我が国で保険適用されたが、ガイドワイヤーが通らない高度石灰化病変には使用できないことや標的病変部以外への照射による血管の穿孔や乖離を引き起こす等の問題があり、更なる改善が必要とされている。本研究では、エキシマレーザによるASO治療時の安全性を高めるために、血管内でのレーザ照射状況をリアルタイムに把握するためのモニタを開発することを目的とする。 リアルタイムモニタ技術は、レーザ照射の際に生じる気泡での光の散乱・反射を光量変化として検出する。光量変化が収束するまでの時間(気泡が存在する時間)を緩和時間とした。まず、治療時の血流確認や光ファイバカテーテル先端の位置確認等で用いられる造影剤に対してレーザ照射を行い光量変化波形を観察した。次に、治療時造影剤を洗い流すために使用される生理食塩液に対するレーザ照射を行った。また、造影剤(原液、2倍、10倍、100倍希釈)にレーザ照射した際の光量変化波形を観察した。さらに、ラットの動脈壁に対して、レーザ照射を行った。 造影剤にレーザ照射すると気泡が発生し、波形の変化として検出することができた。生理食塩液に対するレーザ照射では気泡は発生せず、波形変化も見られなかった。また、造影剤の濃度が低くなるに従い,光量変化の持続時間も小さくなった。動脈壁に照射すると光量波形変化が見られ、造影剤(原液)よりも緩和時間が小さかった。さらに、レーザ照射後、動脈壁に穿孔が生じていた。 以上の結果から、リアルタイムモニタ技術を用いれば、治療の際に造影剤の残存を確認でき、安全性を高められることが期待できる。さらに、血管内の正常組織や病変組織に照射した際の波形を比較して差が認められれば、病変組織に対してのみレーザ照射を行うことができ、血管の穿孔等を未然防ぐことが期待できる。
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