2023 Fiscal Year Annual Research Report
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20K09150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古山 正 九州大学, 大学院医学研究院, 共同研究員 (00419590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 拓也 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター臨床研究部, 血管外科医長 (20374168)
森崎 浩一 九州大学, 大学病院, 助教 (30625801)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は患者30名から動脈瘤壁と血液の検体を採取した。年齢の中央値は66.9歳、男性の割合が93%、喫煙歴を有する患者も93%であった。63%の血液、37%の動脈瘤壁から細菌が検出され、腹部大動脈瘤患者において高頻度にBacterial translocationが起こっていることが観察され、動脈瘤の発生・進行と腸内細菌との関連性が示唆された。血液と動脈瘤壁の両検体から細菌が検出されたのは8例であった。動脈瘤壁から検出された細菌の種類は、Clostridium coccoides、Clostridium leptum、Bifidobacterium、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus ruminis、Atopobium、Prevotella、Enterobacteriaceae、Staphylococcus、Streptococcus、Clostridium perfringensであった。Shannon指数とChao1の中央値はそれぞれ、6.2、2545であった。Bacteroidetes門の構成比の中央値は3.0%で、F/B比の中央値は39.7で、腹部大動脈瘤患者の腸内細菌叢の乱れが示唆された。α-diversityと細菌検出との関連は有意差が無かった。大動脈瘤壁より細菌が検出された症例では大動脈瘤内血栓の割合が高く、血液より細菌が検出された症例では血液中の単球割合が高く、リンパ球割合が低かった。本研究では検出細菌と血液中の炎症との関連性が示唆され、動脈瘤壁からの細菌検出によって、動脈瘤壁における炎症も含めて細菌が腹部大動脈瘤の進行に影響を与えている可能性も示唆された。 次の研究としては、蛍光in situハイブリダイゼーション法(FISH法)による検出細菌の局在の検証と、動脈瘤壁や血液における特定の細菌と炎症反応の関連性の検討である。
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