2021 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害剤抵抗性肺がんに対するネオアンチゲンワクチン治療の開発
Project/Area Number |
20K09161
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長岡 孝治 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80649799)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣見 和宏 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (80273358)
金関 貴幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50531266)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ネオアンチゲン / 肺がん / 次世代シーケンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス肺がんモデルで、腫瘍内浸潤T細胞の多いASB-XIVと、少ないLLC1について、ネオアンチゲンをターゲットとした複合的免疫治療を検討した。 ASB-XIVについては、令和2年度に同定したネオアンチゲンをターゲットにした免疫治療の抗腫瘍効果を検討した。ネオアンチゲンペプチドをパルスした樹状細胞 (DC)を予防的に投与したマウスに対してASB-XIVを接種したところ、ペプチドをパルスしていないDCを投与したコントロールマウスに比べて腫瘍の増殖が有意に抑制された。一方で、あらかじめASB-XIVを接種して腫瘍が生着したマウスに対して治療的にDCワクチンを行った際の抗腫瘍効果は限定的で、併用治療の検討が必要であることが示唆された。 LLC1については、既に免疫原性を確認した25個のショートペプチドについて、予防的DCワクチンを行ったが抗腫瘍効果は認められなかった。これらのショートペプチドに対応する19個のロングペプチドを合成し、DCワクチンをマウスに投与すると、全てのロングペプチドで、ペプチド反応性のCD8+およびCD4+T細胞が誘導された。これらのうちロングペプチドL82ペプチドパルスDCによる予防ワクチンとCpGを併用することにより、腫瘍増大がわずかに抑制された。併用治療の検討のために、トランスクリプトームおよびフローサイトメトリー解析を行った結果、LLC1細胞株では、CD38、CD73の発現が高く、細胞外アデノシン経路の亢進が示唆された。そこで、アデノシン受容体A2Rのアンタゴニストまたは、抗CD38抗体とL82DCワクチン+CpGの併用を検討したところ、A2Rアンタゴニストとの併用では抗腫瘍効果は認められなかったが、抗CD38抗体との併用は有意にLLC1腫瘍の増大を抑制した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺がん患者に対しては、T細胞浸潤の多い患者には抗PD-1抗体が効くが、少ない患者には効かない。本研究では、マウス肺がんモデルで、腫瘍内T細胞浸潤の多いASB-XIVと少ないLLC1について、ネオアンチゲンをターゲットとした免疫治療を含めた複合的免疫治療を検討してきた。 ASB-XIVについては、令和2年度に同定したネオアンチゲンについて、ネオアンチゲン特異的CD8+T細胞が抗腫瘍効果を示すことを、予防的DCワクチンにより確認した。一方で治療的DCワクチン単独では十分に抗腫瘍効果を得ることができないことが明らかとなり、併用治療が必要であることが示唆された。 LLC1については、ネオアンチゲンショートペプチドDCワクチンでは、腫瘍を退縮させることができなかった。そこで、令和3年度はCD8+T細胞だけでなく、CD4+T細胞も活性化させることが期待されるロングペプチドを検討した。腫瘍内へのCD8+T細胞の浸潤を増強させるCpGとL82ロングペプチドDCワクチンとの併用により、わずかに抗腫瘍効果が認められた。さらにLLC1において、細胞外アデノシン経路が亢進していることをを見出し、CpG、L82DCワクチンと、抗CD38抗体の併用療法により、有意に腫瘍増大を抑制できることを明らかにした。T細胞浸潤の少ない肺がんに対して、ネオアンチゲンの同定および腫瘍内環境の解析に基づいた複合的免疫治療が可能であることを示した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ASB-XIVについて、ネオアンチゲンDCワクチンと併用する薬剤を選定し、複合的免疫治療の検討を行う。また、肺がん手術検体を用いて、全エクソン解析、トランスクリプトーム解析、ネオアンチゲン予測を行い、腫瘍内浸潤T細胞によるネオアンチゲンの認識を検討する。
|
Research Products
(12 results)
-
[Journal Article] Identification of Neoantigens in Two Murine Gastric Cancer Cell Lines Leading to the Neoantigen-Based Immunotherapy2022
Author(s)
Koji Nagaoka, Changbo Sun, Yukari Kobayashi, Takayuki Kanaseki, Serina Tokita, Toshihiro Komatsu, Kazuhiro Maejima, Junichiro Futami, Sachiyo Nomura, Keiko Udaka, Hidewaki Nakagawa, Toshihiko Torigoe, Kazuhiro Kakimi
-
Journal Title
Cancers
Volume: 14
Pages: 106
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-