2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノバブルを用いた新たな臓器保存液の臨床応用に向けた有効性の確立とシステム開発
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20K09166
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原 亮介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (80866286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80404268)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
土谷 智史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30437884)
高木 克典 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90635856)
畑地 豪 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (80437889)
土肥 良一郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00817786)
渡邉 洋之助 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (30457551)
谷口 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (20773758)
町野 隆介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90728081)
小山 正三朗 長崎大学, 病院(医学系), 助手 (20815972)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノバブル / 肺移植 / 臓器保存液 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブタの臓器による窒素ナノバブル化保存液を用いた実験を行う前に、まずは小動物、主にラット肺による窒素ナノバブル化保存液の効果を検証した。 従来の臓器保存液であるEP-TU液と、それを窒素ナノバブル化したナノバブルEP-TU液を用いてラット肺の臓器保存効果を比較した。F344ラットの左肺を摘出し、それぞれの保存液を用いて灌流・保存した。4時間後、8時間後、16時間後、24時間後、48時間後にそれぞれの効果を評価した。 肺組織中のATPの経時的変化において、窒素ナノバブル化していないEP-TU液では8時間をピークにATPの低下を認めたのに対し、窒素ナノバブル化したEP-TU液では16時間をピークにATPの低下を認め始めた。ATPは肺組織のアポトーシスが進むことにより消費され、低下していくと考えられる。窒素ナノバブル化した保存液を用いることにより、肺組織のアポトーシスまでの時間を延長できたと考えられる。 また、保存後の肺を病理組織学的に評価を行った。caspase-3による免疫染色の結果、窒素ナノバブル化したEP-TU液を用いた群では、窒素ナノバブル化していないEP-TU液の群と比較してcaspase-3陽性細胞が有意に少なくなっていた(p=0.0173)。窒素ナノバブル化した保存液を用いることで肺組織のアポトーシスが抑制されていると考えられた。 以上の結果から、窒素ナノバブル化した臓器保存液を用いることで、従来の臓器保存液と比較して肺組織の虚血性障害を抑制できる可能性が示唆された。 今後は摘出した肺をそれぞれの臓器保存液で保存後、F344ラットに同種移植を行い、その後の血液検査にてTNF-α等の炎症性サイトカインを測定し、移植後の虚血・再灌流障害の抑制効果を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ブタによる実験は労力と資金を多く必要とするため、多数の実験は困難である。そのため、まずは小動物を用いてナノバブルによる効果の確認を十分に行い、また肺の保存および移植に必要となる技術の向上に努める必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット肺を窒素ナノバブル化した保存液を用いて保存後に、同種移植を行い虚血・再灌流障害の評価を行う。 その後に、ブタを用いた同様の実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
学会、研究会への参加予定が中止となったため、その分の額を次年度使用額とした。 次年度は学会・研究会への参加費用、および論文投稿のための費用に充てる予定である。
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