2021 Fiscal Year Research-status Report
CRPSの発症および症状の増悪に対するデクスメデトミジンの効果
Project/Area Number |
20K09199
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山浦 健 九州大学, 医学研究院, 教授 (70264041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 みどり子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50315082)
住江 誠 九州大学, 医学研究院, 助教 (60792918)
松下 克之 九州大学, 大学病院, 助教 (60794211)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CRPS / デクスメデトミジン |
Outline of Annual Research Achievements |
原因不明の難治性疾患である複合性局所疼痛症候群(CRPS)モデルマウスを用いた実験およびCRPS患者に対する臨床研究の結果から、CRPS発症初期において炎症反応による発症機転の他、発汗や皮膚温の異常といった交感神経を介したものが認められる。 デクスメデトミジンは脳の青斑核のα2受容体を介して大脳皮質等の上位中枢を抑制、また下降性疼痛抑制系を介して脊髄後角を抑制的することで鎮痛効果を発揮する。さらに孤束核のα2受容体を介して交感神経を抑制する。最近の報告ではデクスメデトミジンがα2受容体を介して損傷脊髄のneuroinflammationを抑制することで神経学的予後を改善するとの報告がある。 今回の研究では、CRPSの発症と症状の増悪には虚血再灌流障害による炎症性サイトカインの増加と交感神経を介したものが関与しているという仮説を立て、それに対してデクスメデトミジンの効果を検証しており、まずはCRPSモデルマウスの作成を行っている。当初マウスにイソフルランで麻酔を行った後、片側の後肢に小切開を加え筋肉を離開、坐骨神経を同定し結紮する。切開創を縫合後、後肢を2週間ギブス固定する。患肢側と非患肢側で腫脹の面積の測定、色調の変化を比較解析する。これら痛み閾値の低下、腫脹、色調の変化をもってCRPSモデルとする。当初、ギプス固定解除後、患肢側と非患肢側の足底に対する痛み閾値の差を時間経過と伴にvon Frey filamentを用いて解析するとしていたが、Aβ繊維以外にも反応することが分かり、現在オプトジェネティクス法を用いて選択的にAβ繊維を刺激するモデルに変更を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍で動物実験が予定通りに実施できない環境があること、およぼモデルマウスの作成に難渋しており、モデルマウスの変更を検討している。具体的にはvon Frey filamentを用いて解析するとしていたが、オプトジェネティクス法を用いて選択的にAβ繊維を刺激するモデルに変更を考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
オプトジェネティクス法を用いて選択的にAβ繊維を刺激するモデルを作成している研究室に協力を依頼し、モデルマウスの確立を目指す。その後にこれまでの実験計画のデクスメデトミジンの投与による効果を検証し、研究計画を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定した実験が滞ることが多いこと、およびモデル動物の作成に手間取っている。今後はこの領域を専門としている研究室の援助を得られる内諾をえているため、今後は早急に計画を進める。
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