2023 Fiscal Year Research-status Report
プレハビリテーションによる脳虚血後の高次脳機能障害の予防及びその機序に関する研究
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20K09203
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
恵川 淳二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00453168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 祐介 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00623498)
井上 聡己 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50295789)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
神里 興太 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10554454)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プレハビリテーション / 脳虚血 / 高次脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管障害を有する重症患者や循環動態が不安定な患者の手術では、脳は虚血による障害を受けやすい。脳虚血は脳内炎症を惹起し高次脳機能障害を引き起こす可能性があるが、これらを予防する介入方法は明らかではない。脳虚血手術を行なったラットに術後運動リハビリテーションを行うと高次脳機能障害が改善することが報告されているが、脳虚血前の運動が虚血後の高次脳機能障害を改善するかは明らかになっていない。今回、ラットを用いて運動プレハビリテーションが脳虚血後の高次脳機能障害を改善するという仮説を検証している。 6ヶ月のSDラットを使用し、2週間の運動プレハビリテーションの有無とコントロール群の3群(Prehabilitation群:P群、Sedentary群:S群、Control群:C群)に分けた。脳虚血手術は、外頸静脈からの脱血と両側内頸動脈の閉塞で全脳虚血を6分間実施した。高次脳機能の評価は受動的回避試験を用い、虚血前日に暗室に入った時に電気による嫌悪刺激を与え、虚血7日後にその記憶学習について評価した。記憶障害は、300秒以内の入室潜時とした。 現在各群20匹での結果となるが、P群6匹、S群13匹、C群4匹が300秒以内に暗室に入室した。P群は、S群に比べて記憶の高次脳機能が保たれる傾向が見られている。また、HE染色によるCA1領域の細胞死数もP群ではS群より少ない傾向にある。 生化学的評価については、現在も行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の蔓延により、我々集中治療医は現場での医療業務に多くの時間を割く必要があったこと、実験系の確立に時間を要したことから全体的にスケジュールが後ろにずれ込んだ。メインの結果である、行動実験はほぼ終了し、組織学的検討も概ね終了している。残り、生化学的検討を行い、最終報告に向かいたい。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的検討として、HE染色を用いた細胞死についての検討は概ね予想通りの結果となっている。免疫染色及びウェスタンブロットなどの生化学的検討も行っているが、当初想定していた結果と異なる部分もあり、もう少し実験を繰り返し機序解明を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
免疫染色やウェスタンブロットなど一部再検討を要する研究が残っている。研究に必要な抗体などは、概ね揃っているが、一部消耗品(スライドグラス、カバーグラス、ピペットヘッド)が必要となるため、これらの使用に当てる予定。
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