2020 Fiscal Year Research-status Report
脳のエネルギー代謝からみる慢性疼痛のメカニズムの解明
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20K09218
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中西 美保 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40382048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬伏 俊郎 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 教授 (20213142)
小山 なつ 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50135464)
北川 裕利 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50252391)
福井 聖 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80303783)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 脳の可塑性変化 / 脳MRI / MRスペクトロスコピー(MR-S) / 乳酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、神経障害性疼痛モデルマウスを用いて、行動試験にて痛みや認知や記憶、不快情動を評価する。次に、MRスペクトロスコピー(MRS)を用いて行動変化と関連する脳部位の代謝物質を測定し、脳エネルギー代謝から見た慢性疼痛のメカニズムを免疫組織化学染色や代謝物質の脳内投与により解明することを目的としている。 令和2年度は、坐骨神経部分損傷(partial sciatic nerve ligation, PSL)モデルの疼痛がもたらす脳ネットワーク異常をMRSで評価した。PSLモデルは、6週齢のC57BL/6系雄性マウスを用いて、約1週間慣らし期間後に大腿上部の坐骨神経の 1/2~1/3を8-0 絹糸できつく結紮して作成した。坐骨神経を部分結紮を行わないShamモデルと比較した。MRIの撮像はイソフルラン麻酔下にAgilent社製の7T MRIシステム(マウス用口径6cmの傾斜磁場コイルとDDR2デジタルRFを付備)にて直径9mmのマウス頭部用自作コイルを用いて、脳内の代謝物質(NAA、GABA,グルタミン酸、MI、乳酸)を経時的に測定する実験系を確立した。MRスペクトロスコピーによる脳内代謝物質の評価は、術前3日、術後3日目、7日目、14日目、21日目、28日目に行った。局所脳神経機能の指標をされているNAAの濃度を測定した結果、PSLモデルではNAA濃度がShamモデルに比べてが有意に低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は、行動学的試験で痛みがもたらす中枢神経系の行動を評価する予定であったが、中枢神経系の行動を評価する試験、新奇物体認識試験(Y-maze test)や恐怖条件付け試験(fear conditioning test)オープンフィールドテスト、高架式十字迷路テスト(elevated plus maze test)、尾懸垂テスト(tail suspension test) 機器の確保が次年度となったため、予定を変更してMRSの実験手法の確立を先行させた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の人員を確保して、行動学的試験とMRSの実験を平行させて行うことで、遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ渦で、発表を予定していた国際学会が中止になったことや、不要不急の研究施設の入館が困難となり、研究アシスタントの出勤も制限せざるを得なかったため、予定していた人件費の使用が減少したことで、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(6 results)