2020 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞発生時におけるプロポフォールの脳保護作用メカニズム
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20K09238
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
三井 一葉 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (90568106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 忠彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90293448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / プロポフォール |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞は周術期に発症しやすく、患者の生命予後に重大な影響を及ぼす。脳梗塞増悪の重要な因子に炎症があり、脳内に存在するToll like receptor4(TLR4)は炎症を惹起する。 我々は野生型マウスとTLR4ノックアウトマウスにプロポフォールを投与し、プロポフォールがTLR4経路抑制を通じて脳梗塞に保護的に作用することを示した。本研究の目的はノックアウトマウス・免疫染色・リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いて、TLR4を通じたプロポフォールによる脳梗塞への保護作用の具体的なターゲット細胞、その際のTLR4下流経路を検証することである。 今年度は、プロポフォールを投与することにより脳梗塞を発症したのちに、脳梗塞巣周辺で産生される炎症性サイトカインが低下するか検証した。十分な麻酔深度にした野生型マウスに左総頚動脈結紮および左中大脳動脈焼灼を行うことにより脳梗塞モデルマウスを作製した。同マウスを作製後1日目に安楽死させ脳サンプルを摘出した。その後、RT-PCR装置を用いて各炎症性サイトカインがどの程度発現しているか比較検討した。確認を行った炎症性サイトカインはIL-6、IL-1β、TNF-αである。コントロール群に比較して、プロポフォールを投与した野生型マウスにおいて炎症性サイトカインであるIL-6が有意に低下していること確認した。このことより、野生型マウスにプロポフォールを投与することにより脳梗塞に対して保護的に作用する機序として、炎症性サイトカイン低下の可能性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炎症性サイトカインを抽出するにあたり、適切な試薬の選択、サンプルの摘出条件などを検討するのにやや時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
プロポフォールの脳梗塞保護作用に、炎症性サイトカインの抑制がかかわっている可能性が指摘された。よって、プロポフォールの投与により脳梗塞発症後、脳梗塞巣周辺に集簇する炎症性細胞が減少するか検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
RT-PCRを使用するにあたり見込んでいた試薬などが計画より少量で済んだため。次年度は蛍光免疫染色などの試薬購入を行う予定である。
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