2022 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞発生時におけるプロポフォールの脳保護作用メカニズム
Project/Area Number |
20K09238
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
三井 一葉 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (90568106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 忠彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90293448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞は周術期に発症しやすく、患者の生命予後に重大な影響を及ぼす。脳梗塞増悪の重要な因子に炎症があり、脳内に存在するToll like receptor4(TLR4)は炎症を惹起する。我々は野生型マウスとTLR4ノックアウトマウスにプロポフォールを投与し、プロポフォールがTLR4経路抑制を通じて脳梗塞に保護的に作用することを示した。本研究の目的はノックアウトマウス・免疫染色・リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いて、TLR4を通じたプロポフォールによる脳梗塞への保護作用の具体的なターゲット細胞、その際のTLR4下流経路を検証することである。一昨年度は、プロポフォールを投与することにより脳梗塞を発症したのちに、脳梗塞巣周辺で産生される炎症性サイトカインが低下するか検証した。RT-PCR装置を用いて各炎症性サイトカインがどの程度発現しているか比較検討した結果、コントロール群に比較して、プロポフォールを投与した野生型マウスにおいて炎症性サイトカインであるIL-6が有意に低下していること確認した。このことより、野生型マウスにプロポフォールを投与すると脳梗塞に対して保護的に作用する機序として、炎症性サイトカイン低下の可能性が確認された。昨年度より継続して、脳梗塞巣への炎症性細胞の集簇はプロポフォール投与により減少するか確認するため、免疫蛍光染色法を用いて検討を行った。十分な麻酔深度にした野生型マウスに左総頚動脈結紮および左中大脳動脈焼灼を行うことにより脳梗塞モデルマウスを作製した。同マウスを作製後1日目に安楽死させ脳サンプルを摘出した。抗TLR4抗体・抗CD11b抗体を用いて染色を行った。コントロールマウスと比較して、プロポフォール投与マウスはペナンブラのTLR4発現ミクログリア数が有意に少ないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫蛍光染色法を用いて検討を行っていたが、適切な画像の検出に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞発症直後では、マクロファージは炎症性M1タイプを示し、炎症を促進する。しかし、数日経過の後に、これらのマクロファージはM2タイプに転換し、炎症の収束と神経修復に寄与することが指摘されている。 この転換とプロポフォールの作用の関係性を明らかにするために脳梗塞局所でのM1マクロファージとM2マクロファージの比率などを検討していきたい。
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Causes of Carryover |
免疫蛍光染色法に用いる薬剤購入にかかる費用が現時点では予定より少額であった。M1/M2比の検討、MyD88ノックアウトマウスなどの検討の費用に充てる予定である。
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