2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性不整脈を呈する変異体Nav1.5チャネルに対する揮発性麻酔薬の修飾作用
Project/Area Number |
20K09241
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
福島 豊 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10422891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 裕利 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50252391)
小嶋 亜希子 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50447877)
松浦 博 滋賀医科大学, 医学部, 理事 (60238962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 揮発性麻酔薬 / デスフルラン / Nav1.5チャネル / 遺伝性不整脈 / LQT3 / 麻酔 |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性QT延長症候群(先天性LQT)やBrugada症候群などの遺伝性不整脈は、心臓イオンチャネルタンパク質の発現をコードする遺伝子の変異に伴ってイオンチャネルの様々な機能障害が惹起されることで起こる。揮発性麻酔薬はQT時間を延長するため、これらの遺伝性不整脈に対する使用はtorsades de pointesを誘発する可能性がある。しかし、遺伝性不整脈の原因となる変異体チャネルに対する揮発性麻酔薬の修飾作用についての報告は限られている。本研究は、LQTやBrugada症候群の原因となるNav1.5チャネルの変異体に対する揮発性麻酔薬の修飾作用を、部位特異的変異導入法、パッチクランプ法、コンピューターシミュレーション法などを用いて明らかにすることを目的としている。 2020年度は、野生型Nav1.5チャネルと緑色蛍光タンパク質 (GFP) のcDNAをリポフェクション法によりHEK293細胞に共発現させ、GFP陽性のHEK293細胞に全細胞型パッチクランプ法を用いて、Nav1.5チャネル電流を記録した。過去の報告にある野生型Nav1.5チャネル電流に近い電流を継続的に記録できる実験条件を整えるのに時間を要した。現在は、野生型Nav1.5チャネルに対する揮発性麻酔薬デスフルランの効果(可逆性、濃度依存性、活性化、不活性化の膜電位依存性、不活性化の時間経過、late Na+ currentに対する作用、頻度依存性)を検討し始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過去の報告にある野生型Nav1.5チャネル電流に近い電流を、薬剤の投与を評価できる程度に継続的に記録できる実験条件を整えるにあたり、試行錯誤を繰り返したため当初の予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型もしくは変異体Nav1.5チャネルと緑色蛍光タンパク質 (GFP) のcDNAを、リポフェクション法によりHEK293細胞に共発現させる。GFP陽性のHEK293細胞に全細胞型パッチクランプ法を用いて、Nav1.5チャネル電流に対する揮発性麻酔薬デスフルランの効果(可逆性、濃度依存性、活性化、不活性化の膜電位依存性、不活性化の時間経過、late Na+ currentに対する作用、頻度依存性)を検討する。 チャネルの変異が心室筋の活動電位にどのような変化をもたらし、揮発性麻酔薬がそれに対してどのように作用するかを検討するために、ヒト心室筋のシミュレーションモデルであるO’Hara-Rudy dynamicモデルを用いて、野生型Nav1.5チャネルと変異体チャネルの活動電位持続時間(APD)、restitution曲線、APD alternansを検討し、それらに対する揮発性麻酔薬の効果を検討する。
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Causes of Carryover |
すでに教室にある薬剤や物品を使用した実験を行うことが多かったため、当該年度の使用金額が少なくて済んだ。来年度以降に、当該年度の残金と合わせて、新しく薬剤や物品を購入し、実験を行う予定である。
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Research Products
(8 results)