2022 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋量による周術期日常生活活動低下予測と日常生活活動維持のための管理法の確立
Project/Area Number |
20K09242
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝田 敏幸 京都大学, 医学部附属病院, 准教授 (80596198)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋量 / 日常生活動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、全身麻酔で腹部大手術を受けた患者を対象に、手術中の呼気中二酸化炭素濃度(EtCO2)が術後の臓器機能障害に及ぼす影響にを明らかにし、学術論文に報告した。手術中の平均EtCO2が35mmHg未満のものを低EtCO2として分類し、低EtCO2と術後の臓器障害との関連を調査したところ、低EtCO2と術後臓器機能障害の増加との間に有意な関連が認められた(調整リスク比、1.11;95%信頼区間[CI]、1.03-1.20;p=0.006)。さらに、EtCO2値35mmHg未満への長期曝露および低EtCO2の重篤度(area under the threshold)は、術後の臓器機能障害発生と関連していた。 また、全身麻酔下で腹腔鏡下婦人科手術を受けた患者816名を対象とし、フェンタニルを用いた静脈内患者管理鎮痛法(ivPCA)の使用が臨床的に重要なイベント(CSE)の発生率に及ぼす影響を検討し、学術論文に報告した。主要な曝露は、フェンタニルを用いたivPCAの使用とし、主要アウトカムは、患者の回復に悪影響を及ぼすと想定される重度の創傷痛と嘔吐を統合したアウトカム指標-CSEとした。多変量ロジスティック回帰分析を行いてivPCA使用とCSEの独立した関係を評価した。結果、フェンタニルベースのivPCAはCSEの増加と独立に関連していた(調整オッズ比(95%信頼区間).1.80 (1.24-2.61), p = 0.002)。 ivPCAの使用は、術後の重度の創傷痛の発生率の低下と関連していた(調整オッズ比(95%信頼区間): 0.50(0.27-0.90)、p = 0.022)が、一方で嘔吐の発生率の増加とも関連していた(調整オッズ比(95%信頼区間): 2.65 (1.79-3.92), p < 0.001)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ肺炎の蔓延下において患者との接触が必要となるデータ収集を開始するのは適切ではないと判断しているため。2022年度は患者との濃厚な接触が必要のない形で研究を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに研究開始に必要な倫理委員会の承認がおり、UMIN-CTRへの研究登録を行ったが、新型コロナ感染症蔓延の状態を鑑み患者リクルートは中断している。 我々研究グループの保有しているデータベースから術前術後の日常生活動作の変化を明らかにする研究に方向性を転換し検討を始める予定としている。 また、周術期医学研究の推進に必要な、臨床的に妥当なアウトカム指標の開発を行っており、現在学術論文執筆中である。既存の情報から簡便に評価できるeSOFAという指標により評価した術後臓器障害が患者予後の予測に有用であるかどうかを検討した。
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Causes of Carryover |
新型コロナ肺炎の流行のため患者との接触を多く伴う研究計画を進めることが困難であった。
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Research Products
(8 results)