2021 Fiscal Year Research-status Report
睡眠障害は疼痛を増悪させるか?睡眠が疼痛制御に及ぼす分子機構解明と治療介入の検討
Project/Area Number |
20K09256
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
間瀬 大司 日本医科大学, 医学部, 講師 (60614831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 真士 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30714745)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 疼痛制御系 / 睡眠覚醒系 / 次世代シーケンサー / RNAシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な疼痛を有する患者に対して疼痛緩和治療が行われるが、しばしば治療抵抗性を示し、治療上の大きな問題である。不眠が疼痛を増悪させ、疼痛を有する不眠に対して鎮痛薬が有効でないことが近年報告されている。「痛いから眠れない」だけでなく、「睡眠障害が疼痛を増悪させている」可能性が考えられる。睡眠覚醒および疼痛制御系において、疼痛により特異的に発現変化する遺伝子群を同定し、その機能を包括的かつ詳細に検討することで、生体内の睡眠覚醒と疼痛制御系の連関機序を明らかにすることが本研究の目的である。 当初の研究計画では、2020年度中に疼痛モデルの作製、疼痛および睡眠関連行動の解析、検体の採取を予定していた。しかしながら、新型コロナウィルス感染症の拡大により当初の予定通りに研究を遂行することができず、当初の研究計画より遅れをとった。そのため、2021年度は疼痛モデルの作製、疼痛および睡眠関連行動の解析、検体の採取、RNA抽出、次世代シーケンサーによるRNAシーケンスを予定した。疼痛モデルは、臨床上の治療頻度が高く、確立した動物実験モデルが存在する術後痛モデル、癌性疼痛モデル、神経障害性疼痛モデルを当初は疼痛モデル候補としたが、片側下肢切開による術後痛モデルは疼痛関連行動の変化が軽微であった点、癌性疼痛モデルは疼痛の確立に時間を要した点を考慮して、疼痛関連行動の変化が顕著で疼痛再現性が高かった神経障害性疼痛モデルを選択することにした。検体の採取部位は、睡眠覚醒または疼痛制御系に関与するとされる神経核群とした。検体の採取後にRNA抽出を行い、RNA収量と品質を確認後、次世代シーケンサーによるRNAシーケンスを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、2020年度中に疼痛モデルの作製、疼痛および睡眠関連行動の解析、検体の採取を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により当初の予定通りに研究を遂行することができず、研究計画に遅れが生じた。2021年度も新型コロナウィルス感染症の感染拡大期に一時的な研究の中断を余儀なくされたが、2021年度中の計画であった次世代シーケンサーによるRNAシーケンスまで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度中に、睡眠覚醒または疼痛制御系に関与するとされる複数の神経核群の採取を完了しており、順次次世代シーケンサーによるRNAシーケンスを進めていく予定である。疼痛により特異的に発現変化する遺伝子群を同定し、その機能を包括的かつ詳細な検討を今後進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大による自施設研究室への動物搬入の停止と遅延、遺伝子抽出キットと遺伝子発現解析キットの国内在庫不足の状態が続いたため、当初2020年度内に予定していた、動物を用いた疼痛モデルの作製、疼痛および睡眠関連行動の解析、検体の採取、遺伝子抽出といった研究過程が予定通りに進行しなかった。2021年度に繰り越して研究を行うことを余儀なくされ、また関連する研究の情報収集のための学会参加費用として計上した旅費は、国内外の学会への参加ができず使用しなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度は、2021年度末からはじめた次世代シーケンサーによるRNAシーケンスを進め、疼痛により特異的に発現変化する遺伝子群を同定し、その機能を包括的かつ詳細に検討する予定である。その研究結果を国内外での学会で発表し、最数的に研究成果として論文投稿する予定のため、2022年度の助成金と合わせて使用予定である。
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