2020 Fiscal Year Research-status Report
誘電率測定を用いた直接経口抗凝固薬の薬効評価システムの確立
Project/Area Number |
20K09263
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
内田 篤治郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40262183)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 血液粘弾性測定 / 直接経口抗凝固薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、健常人ボランティア10名より採血した検体に、活性化第X因子の阻害薬であるアピキサバン、リバロキサバン、エドキサバンについて、0, 25, 50, 100, 200, 400 ng/mLに濃度を調整して添加した人為検体に対して、誘電コアグロメーターにおける組織因子を作用させる外因系評価用測定カートリッジによる評価を行った。この系において、交流1MHz下で測定した誘電率は血液凝固反応の進行とともに上昇するが、血球成分の変形を反映して減少に転ずることがわかっているが、最初に増加から減少に転ずるまでにかかる時間を凝固時間として定義した。 今回の検討では、この凝固時間が上記直接経口抗凝固薬(DOAC)混合時に濃度依存性に延長すること、人為検体におけるトロンビン生成のピークの減高に依存して1MHz下で測定した凝固時間が延長することが明らかになった。アピキサバン、リバロキサバン、エドキサバンそれぞれにおいて、トロンビン生成のピークと1MHz下で測定した凝固時間の関係を示したグラフは、両対数グラフにおいて、直線的な関係性を示し、3種類の経口抗凝固薬において、グラフが重なる傾向が示された。 それぞれの濃度設定において、凝固時間にばらつきがあるという課題も示されたが、誘電コアグロメーターを用いて測定した凝固時間が、これらの経口抗凝固薬によるトロンビン生成の低下を反映する指標と指定使用できる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人為検体を用いた研究として、誘電コアグロメーターによる凝固時間測定が、リバロキサバン、アピキサバン、エドキサバンの薬効を判定するうえで有用な可能性を示唆する結果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
誘電コアグロメーターは、抗第X因子活性を抑制する経口抗凝固薬の薬効を判定するうえで有効である可能性が示唆されたが、外因系評価カートリッジの結果では、凝固時間のばらつきが若干大きく、例えば、薬効の残存の有無を判定するという目標においては、課題が残されている。凝固活性試薬を工夫するなどして、より判別性能が高い評価系の確立を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗に合わせて必要物品を購入したが、新型コロナウィルス感染症において若干の制約が生じたこともあり、次年度使用額が少額発生した。令和3年度以降の試薬等購入経費として活用する予定である。
|