2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K09287
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
太田 淳一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (50529667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 貴行 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (30378286)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 敗血症 / 炎症 / 臓器障害 / 血管内皮細胞 / YAP / トロンボモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は、感染症に対する制御不能な生体反応を生じて臓器障害を招く致死率の高い疾患である。重症化時には感染を原因とした過度の炎症と血液凝固の活性化、さらに血管内皮障害を伴ったや著しい血管透過性亢進と臓器障害を呈する。本研究では敗血症モデルマウスを用いて血管内皮細胞の転写共役因子Yes-associated protein (YAP)を標的とし、その活性化を制御することで血管内皮障害や臓器障害が改善できるか検証を行っている。 初年度では、エンドトキシン腹腔内投与モデルとヒストン静脈内投与モデルを用いてバイタルサインの解析、臓器障害と血管透過性の亢進の確認を行い、敗血症様症状を呈するか確認した。次いでトロンボモジュリン製剤を投与した結果、各種臓器障害や血管構造の改善を確認することができた。 今年度では、まず敗血症モデルマウスから摘出した肝臓、肺、腎臓におけるYAPの活性化を免疫染色法にて解析したが、実験手法のリミテーションにより評価することが出来なかった。そのため、in vitro培養血管内皮細胞を用いて、細胞にエンドトキシン、ヒストンを添加し、YAPの活性化について核移行を指標に評価した。その結果、いずれの炎症刺激を加えることでYAPが活性化することを確認した。さらにトロンボモジュリン製剤を加えることで炎症刺激時のYAPの活性化が抑制されることを明らかにした。また、トロンボモジュリン製剤が抗炎症作用やYAP活性化の抑制を起こす分子機構から、血管内皮細胞の機能維持に関わる候補分子を同定しつつある。以上の結果から、YAPの活性化制御が血管内皮障害や臓器障害を改善する可能性が示され、次年度ではin vivo実験とin vitro細胞培養実験を行い、さらなる検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症への対応のため、当初予定していた研究時間が確保できていないこと、実験用資材の供給が不安定な状況にあるため、実験計画にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究における重要な課題は着々と達成できている。今後、動物実験施設の改修工事により、一部の動物実験が予定通り進めることができない可能性があるが、必要に応じて代替の実験に変更して進める予定である。当初想定していなかった新しい発見もあり、一部の実験計画を変更しながら新たな課題にも取り組むことで、本研究課題を遂行できると考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、実験用マウスの購入および必要な試薬や器具の購入が一部予定通りにできなかった。最終年度では研究課題の達成するために実験計画を変更する予定であり、次年度に繰り越す研究費は変更に伴い必要となる試薬や器具等の購入に使用させていただく予定である。
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Research Products
(6 results)