2023 Fiscal Year Annual Research Report
モバイル空間情報を用いた災害時医療体制の分析・再構築と発災時の情報発信拠点づくり
Project/Area Number |
20K09292
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
山本 啓雅 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 客員准教授 (20509723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 義成 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (20570641)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地理情報システム / 南海トラフ巨大地震 / モバイル空間データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はNTTドコモのモバイル空間統計データを用いた傷病者数を計算し、GISに展開した結果をヨーロッパ救急医学会において発表した。まず人口分布をすでに大阪府から公開されている国勢調査をもとにした人口分布と比較した。モバイル空間統計データベースの人口は国勢調査に比べ30%多く、かつ市内中央部により分布していた。建物被害による傷病者を計算し比較すると、モバイル空間統計ベースでは9%多く、やはり中央部に多く分布した。モバイル空間統計ベースでの津波による傷病者数は、被害が迅速な場合市内全域で一様に少なく、被害が遅れた場合は中央部で多く、沿岸部で少ない結果となった。 さらに、本年度は、津波や建物被害だけでなく、火災、落下物、転倒物による被害などすべてを総計した被害状況についてモバイル空間統計を用いて再計算を行い、国勢調査の結果と比較した。津波地域からの早期避難率が低いまたは高い場合の傷病者数は、モバイル空間統計でそれぞれ30,960人と4,29人であり、国勢調査では31,620人と4,452人であった。早期避難率が高い場合は、モバイル空間統計でより中心部の傷病者数が多く、周辺部で少ないことが分かった。早期避難率が低い場合は、モバイル空間統計、国勢調査とも沿岸部と北東部で傷病者が多かったが、両者を比較するとモバイル空間統計では都市部や工業地帯でより傷病者が多く、国勢調査では住宅地でより傷病者が多く分布していた。 この結果を用い、各医療機関に搬送する傷病者を割り出すことができ、医療需給についての検討が可能となる。 また本年度はさらにStarlinkを用いた衛星ブロードバンド環境を構築したことにより、災害データを発信する拠点の基礎を築くことができた。
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