2020 Fiscal Year Research-status Report
ATP蛍光イメージングによる敗血症の病態解明に関する研究
Project/Area Number |
20K09295
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
末吉 孝一郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90648297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 裕 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90252676)
岡本 健 順天堂大学, 医学部, 教授 (40347076)
近藤 豊 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90642091)
平野 洋平 順天堂大学, 医学部, 助教 (70621895)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 敗血症 / 免疫抑制 / ATP / 単球 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症患者の末梢血よりPBMC(末梢血単核細胞)を精製し単球、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の細胞膜表面ATP、ミトコンドリア機能、各種細胞表面マーカーをフローサイトメトリー(FACS)を用いて測定した。単球については細胞膜表面ATP濃度およびPD-L1の細胞膜上の発現は健常人に比べ有意に上昇していた。また細胞膜表面HLA-DR発現量は減少していた。すなわち免疫抑制の代表的なマーカーであるPD-L1の増加および抗原提示能のマーカーであるHLA-DR発現の減少は免疫抑制を示唆している。申請者らは敗血症モデルにおいて単球が細胞外に放出するATPが敗血症における免疫抑制の原因である(J. Biol. Chem.2019)と報告しているが、今回の結果はこの基礎実験の結果を敗血症患者において裏付ける。 CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の細胞膜表面ATP濃度およびPD-1の細胞膜上発現は増加していた。PD-1発現量の増加は免疫抑制を示唆しており、これも上記の単球の実験結果と一致し、単球が放出するATPが敗血症における免疫抑制の原因であるという我々の仮説を支持する結果である。 ミトコンドリア機能についてはミトコンドリア膜電位(TMRE)と活性酸素種(DHR)を測定した。敗血症患者ではTMREは上昇していなかったが、DHRの上昇を認めた。ミトコンドリア機能の増大にともないミトコンドリア内での酸化的リン酸化によるATP産生が増大したと考えられ、細胞膜表面ATP濃度の増加と一致する。この所見は単球、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞のいずれにも認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人での測定系を計画どおりに確立でき、そのプロトコールに従い敗血症患者での測定を行うことができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で患者検体数が10例とまだ十分でないため継続して測定を行う。CD4+ T細胞の機能活性の評価としてIL-2 産生能をELISAを用いて行う予定である。また患者検体より得られた知見をもとに、LPSを用いた敗血症モデルを用い、敗血症における免疫抑制のより詳細なメカニズムにつき実験を計画、遂行する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたELISAによるIL-2測定を本年は行わなかったためELISAキットの購入を次年度に延期したため。
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